一眼レフカメラでは、背景をふんわりとぼかすことで、風景の一部や人物に焦点をあてたり、遠近感をつけたりすることができます。一方、スマホで撮った写真は、全体がくっきりしているために、奥行がなく、特定の場所に焦点を当てるのが難しいです。
今回は、Photoshopを使用して背景をぼかす簡単な方法や、きれいで自然に仕上げるコツをご紹介します。
目次
Photoshopで写真の背景をぼかす手順①
Photoshopで写真を開き、レイヤーを複製する
フォトショップで編集する写真を開き、編集用にレイヤーを複製します。
レイヤを右クリックし「レイヤーを複製」を選択するとレイヤーのコピーが作成されます。

ぼかす範囲を選択する|Photoshop機能「クイック選択ツール」
ぼかしたい範囲を選択します。今回の写真の場合は、メインの被写体のほうが選択しやすいので、最初にメインの被写体を選択し、選択反転することでぼかす範囲を選択します。
まず「クイック選択ツール」でざっくりと被写体を選択していきます。

選択範囲を微調整する|Photoshop機能「なげなわツール」
次にクイック選択ツールでざっくり選択した範囲を微調整していきます。
Photoshop機能の「なげなわツール」を使うと、簡単に微調整ができます。なげなわツールを使用することで、選択範囲の微調整を正確かつ簡単に行うことができます。被写体からはみ出た選択範囲を削り、抜けている選択範囲を追加していきましょう。

Win[Alt]/Mac[Option]を押しながらドラッグしてなぞることで、選択範囲を削ることができます。
また、Win[Shift]/Mac[Shift]を押しながらドラッグしてなぞることで、選択範囲を増やすことができます。
被写体をきれいに選択できたら、「選択範囲の反転」を行います。
選択範囲の反転はPhotoshopで頻繁に使用する機能なので、ショートカットを覚えておいた方が良いでしょう。
レイヤーマスクを追加する
Photoshopには、編集対象範囲を絞ってくれる「レイヤーマスク」という便利な機能があります。
背景が選択されている状態で、パレット下の「レイヤーマスクを追加」をクリックします。背景のみ選択されたレイヤーマスクが追加されます。

これにより、レイヤーマスクで選択されている範囲(白い部分)のみに編集の効果を与えることができるようになります。
Photoshopで写真の背景をぼかす手順②
Photoshop機能「ぼかし(レンズ)」をかける
画像のアイコンを選択し、メニューバーの「フィルター/ぼかし/ぼかし(レンズ)」を選択します。

ぼかし度合を調整する
ぼかし度合を調整するウィンドウが開きますので、ぼかし度合を調整しましょう。
「半径(R)」の値を大きくするほどぼかし度合が上がります。背景のぼかし度合いが自然になるよう調整し、OKをクリックします。

Photoshop機能「ぼかし(レンズ)」で背景のぼかしが完成!
これで、背景をぼかすことができました。
メインの被写体が際立ち、編集前に比べ奥行を感じる写真になりました。

Photoshopで写真の背景をぼかす手順③
メインの被写体と背景の境界がはっきりしていて、メインの被写体のみが手前にあるような写真の背景ぼかしは、先ほど行った「ぼかし(レンズ)」のみで十分奥行きのある写真が作成できます。
しかし、単一のぼかしのみでは、メインの被写体の中でも特に焦点を当てたり、顔を際立たりすることができません。
レイヤーマスクを追加する
編集用にレイヤーマスクを追加します。すでに背景のレイヤーマスクがあるので、これを利用して追加します。
背景のレイヤーマスクをクリックし、メニューから「再選択」を選びます。背景部分が選択された状態になるので、「選択範囲の反転」を行い、メインの被写体が選択された状態にします。

編集用にレイヤーを複製し、さらにパレット下の「レイヤーマスクを追加」をクリックしてレイヤーマスクを作成します。

Photoshop機能「虹彩絞りぼかし」をかける
メニューバーの「フィルター/ぼかしギャラリー/虹彩絞りぼかし」を選択します。

ぼかし範囲とぼかし度合を調整する
ぼかし範囲やぼかし度合を調整するウィンドウが開きます。
写真上に表示されたの円内の4つのつまみ(青くマークしたつまみ)から、外側の周りに行くにつれてぼかしが強くなるように表現できます。円の位置や大きさや形状、円内の4つのつまみの位置を変えることでぼかし範囲を調整できます。
win[Alt]/mac[Option]を押しながらドラッグすることで、つまみの1つのみを移動できます。
また、「ぼかし」バーの値を大きくすることでぼかし度合いを大きくすることもできます。

フォトショップによるぼかし加工写真が完成!
これで完成です。編集前と後の写真を比較してみましょう。
フォトショップの機能である「ぼかし(レンズ)」によって、背景を一定にぼかし、奥行を表現しました。さらに「虹彩絞りぼかし」によって子どもの顔に焦点をあて、周囲に行くにつれ徐々にぼかしていくことで、顔を際立たせています。
子どもの顔を中心に次第にぼけていくことで、奥行だけでなく、顔や表情を際立たせる写真に仕上げることができました。

Photoshop|綺麗に写真の背景をぼかすコツとは?
背景のぼかしに向いている写真を使う
特定の人や物など、焦点を当てたい被写体の境界ができるだけはっきりしている写真を選びましょう。

焦点を当てたいものが背景になじんでいるなど、境界がはっきりしていない場合、正確な選択が難しく、ぼかしを入れることで不自然になることがあります。
また、焦点を当てたいメインの被写体が小さすぎる場合も背景のぼかしには向いていません。ぼかす範囲が大きくなりすぎて、不鮮明な印象になってしまいます。
メインの被写体と同じ位置関係にある周りのものは、ぼかしすぎない
焦点を当てる被写体と同じ位置にある周りのものはぼかしすぎないようにしましょう。ぼかしすぎると、遠近感に違和感が出て、被写体だけが浮き上がったような写真になってしまいます。
この写真は、Photoshop機能「ぼかし(レンズ)」を使用した例です。メインの被写体であるコップと同じ位置関係にある、テーブルや植木鉢までぼかしを入れてしまっています。
コップのみが浮かび上がった、不自然な写真になってしまっています。

焦点を当てるコップと同じ位置にある植物やテーブルの手前側はあまりぼかさず、テーブルの奥に行くほどぼかしが大きくなるように修正しました。奥行が自然に表現されています。

メインの被写体から離れるほどぼかす
背景に奥行のある写真の場合、Photoshop機能「虹彩絞りぼかし」ツールを使用して、メインの被写体に近いほどくっきりと、離れていくほどぼかしが強くなるようにしましょう。

ぼかし度合に強弱をつけることによって、手前から奥まで連続している物でも自然に奥行を表現できます。ぼかし度合いが一定だと奥行が表現できず、のっぺりとした不自然なぼかしになってしまいます。
また、焦点を当てたい被写体よりも奥だけでなく、手前もぼかすことで、メインの被写体が際立ちます。

Photoshopで背景をぼかす方法をマスターしよう!
今回ご紹介したPhotoshopの機能「ぼかし(レンズ)」「虹彩絞りぼかし」を使えば、日常でスマホで撮った何気ない写真でも、簡単に背景をぼかすことができます。
背景をぼかすことで、対象を際立たせたり、奥行をつけたりすることができ、一眼レフで撮ったようなワンランク上の写真に仕上げることができます。
SNSにアップする写真にぼかし編集してみるのもオススメです。TwitterやInstagramなどのSNSでは、スマホで手軽に撮られた写真がほとんどです。そんな中、フォトショップで編集した一眼レフ風の写真をアップすれば、周りとの差がつき、目を引きやすくなります。
ぜひPhotoshopで背景をぼかす方法をマスターして、ワンランクアップした写真に仕上げましょう!