今回はPhotoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能について解説します。コンテンツに応じた塗りつぶしを使用すると、映り込んでしまった不要な物を消したり、逆に見切れた部分を追加したりすることができます。
目次
Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」はどんな時に使える?
Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能が使える場面を紹介します。
肌のニキビやほくろなどを消す

顔や体にあるニキビなどを消すことができます。
多くの人に見られる写真や画像、ポスターなどでは肌をキレイに見せたい場合もありますよね。そういったときにこの機能が役立ちます。
他のソフトだと手順が複雑だったり、そもそもできなかったりしますが、Photoshopではとても簡単にレタッチすることが可能です。
映り込んだ不要な物を削除する

Photoshopでは、不要な物が映り込んでしまった惜しい写真などから、不要なものを消去することができます。
一瞬のシャッターチャンスのなかで、被写体の周りまで意識して撮影するのは難易度が高いものです。しかし、Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能を活用することで、被写体以外の不要なものを後から削除することができます。
背景が複雑なものなど自然に消すことが難しくなりがちですが、比較的シンプルなものであればごく自然に消去できます。
写真から見切れた部分を補う

上記2つは写ってしまったものを取り除く使い方でしたが、Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし機能」では、写りきらなかったものを追加することも可能です。
そもそも写真内に写っていないものを増やすことはできませんが、写真内に写っているのであればその部分を参照させることで見切れた部分を増やす事ができます。
「コンテンツに応じた塗りつぶし」で不要物除去の方法
次は、Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能を使い、不要物を消す具体的な方法を解説します。
上で紹介した「ないものを追加する」方法も同じ手順となりますので、ぜひ参考にしてみてください。
Photoshopに写真を取り込む

まず、目的の写真を取り込みましょう。
写真をPhotoshop上にドラッグ&ドロップするか、画面上にあるメニューバーより「ファイル」→「開く」から写真を取り込むことができます。
消したい部分を範囲選択する

次に、「オブジェクト選択ツール」や「投げ縄ツール」などを使って、消したい部分を範囲選択します。今回はオブジェクト選択ツールを使用します。
「写真内にないものを追加したい」場合は、オブジェクト選択ツールのひとつ上にある投げ縄ツールを用いて追加したい部分を囲みましょう。
右クリックから「コンテンツに応じた塗りつぶし」を選択

範囲選択が完了したら、選択した範囲内で右クリックから「コンテンツに応じた塗りつぶし」を選択しましょう。
すると、消去前と消去後を比較したプレビュー画面が開きます。
Photoshopでは、こちらのプレビュー画面で「消えた後の背景を補正する”材料”とする範囲」を選択することになります。
プレビュー画面にて仕上がりを確認する

プレビュー画面にて仕上がりの確認を行います。
プレビューでは画面が二分割され、左側に消す前の写真、右側に消した後の写真が表示されます。左側写真のグリーンになっている部分が、「トラの部分を塗りつぶす材料」として参照している部分になります。
仕上がりが自然であれば、そのまま「OK」をクリックして確定します。
最後に、メニューバーより「選択範囲」→「選択を解除」をクリックし、選択範囲を解除することでコンテンツに応じた塗りつぶし作業の完了です。
今回の場合、トラのフォルム上に黒い縁が残っています。次の見出しに進み、この縁を消していきましょう。
マニュアル操作で除去する方法
Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能による自動消去では、なかなかうまく消去できないものもあります。
そういったときはマニュアル操作を行い、プレビュー結果を確認しながらうまく除去できるよう調節していきましょう。
うまく消えない場合の対処法
選択方法や写真によっては、自動設定でうまく消えない場合もあります。その場合は状態に応じて調節しましょう。

上の画像の場合、選択ツールに「オブジェクト選択ツール」を使用したため、選択した範囲がギリギリすぎて動物のフォルムが黒く残ってしまっています。
この場合、プレビュー画面左の「投げ縄ツール」を選択し、画面上のオプションバーにある「拡張」ボタンをクリックします。
右側に「10px」という幅の数値がありますが、【選択の範囲を更に10px拡張する】といった意味です。

選択範囲が当初より20px拡張したことで、選択しきれていなかったフォルムまで囲むことができ、結果的により自然な仕上がりとなりました。
「OK」を推してコンテンツに応じた塗りつぶし機能を完了しましょう。
消えた背景に使う材料を自分で指定する
ひとつ前の画像で、Photoshop画面上のグリーンになっている部分がありますが、ここは「消えた物体を塗りつぶすための材料」とする範囲になります。
この範囲は「サンプリングブラシツール」を使用することで、マニュアル指定が可能です。

サンプリングブラシツールを選択し、塗りつぶしの材料にしたい範囲をドラッグします。クリックボタンから手を離すことでプレビュー結果へ反映されます。なお、上のオプションバーより、円のサイズや追加・削除が選択可能です。
「ないものを追加する」方法はこの方法を使って材料を指定し、増やすことになります。
写真によって微調整が必要なので、材料とする部分をピンポイントで範囲選択するなど試行錯誤してみてください。
Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」でできること
Photoshopのコンテンツに応じた塗りつぶし機能を使用して、不要なものを消した例をいくつか紹介します。
シンプルな背景は「コンテンツの塗りつぶし」の得意分野

道路など背景が単調な写真や画像は、Photoshop「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能の得意分野です。
こういった特性を知っておくと、撮影の際にあとで削除可能か判断できるようになります。
「コンテンツに応じた塗りつぶし」で不要物を消した後に追加する

ない物を増やす機能を使うことで現実をデフォルメすることも可能です。
レイヤー設定はプレビュー画面の右パネルにてダウンドロップ選択できます。
自然な景観を加工する際も「コンテンツに応じた塗りつぶし」が大活躍

Photoshopのコンテンツに応じた塗りつぶし機能は造形物を補うのはやや苦手ですが、自然な景観を補うのは得意な傾向にあります。
うまく活用すると、別の場所で撮影したような写真にも加工できるので、いい写真をもっとお気に入りの写真へ昇華させてみてください。
Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」のコツ
Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能を活用する上でのコツを紹介します。
また、よく陥りがちな失敗についても触れていきます。
シンプルな画像・イラストを使用する
うまく消去するためには「背景がシンプル(単調)」な写真であることが重要です。
例えば、空や水、単色の背景、肌、植物といったPhotoshop側が理解しやすい写真・画像であればより自然な仕上がりとなります。
逆に、街中で撮影した背景が複雑な写真などは、消す対象物が大きいほどに不自然な仕上がりになることが多くあります。
グリーンで塗る範囲を工夫する
「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能のプレビュー画面で、消した物体を塗りつぶす素材をグリーン部分で指定します。
その際、下のようなことを意識するとより自然に加工できます。
- 関係のない部分をグリーン選択しない
- 使用したい部分を重点的にグリーン選択する
- 消去する対象の周りは必ずグリーン選択する
例えば下の卓球大の例でいうと、消す対象であるラケット部分の背景は、卓球台の光沢が「影」の部分になります。

なので、同じく卓球台の影部分をピンポイントでグリーン選択し、塗りつぶし素材として指定することで、自然に加工できるようになります。
また、消す対象物の周りをグリーン選択しない状態だと、自然になじませることができないので、対象物の周囲は必ずグリーン選択するようにしましょう。
Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」が反映できない場合の対処
対象物を消そうとした際、右クリックしても「コンテンツに応じた塗りつぶし」が選択できない、またはプレビュー画面でエラーが表示される状態になることがあります。
よくあるのは、同じ写真から連続して複数個所を消そうとした場合に、こういった症状が起こります。
主な原因は、レイヤー選択画面にて「写真が選択されていない状態」になっていることが挙げられます。

1箇所目を消去した際に「新規レイヤー」というかたちで塗り隠した部分が作成される(※)ので、2箇所目を範囲選択する前にレイヤーパネルで写真を再選択してあげる必要があります。
※塗り隠す際に新規レイヤーとするかはプレビュー画面上のオプションで設定できます
Photoshopのコンテンツに応じた塗りつぶしを使いこなそう!
今回は、フォトショップでの「コンテンツに応じた塗りつぶし」について解説しました。
コンテンツに応じた塗りつぶし機能を知らない方からすると、かなりの技術力を要するような加工に思えるので驚かれることも多いです。しかし実際はたったの数ステップで加工できるので、これほどコスパの良いテクニックはありません。
ぜひあなたの制作活動のお役に立ててください。