Adobe(アドビ)After Effects(アフターエフェクツ)を使用して揺らぐ水面を作成する方法を紹介します。
After Effectsで揺らぐ水面を作る方法①フルクタルノイズを使うフラクタルノイズを使う
1つ目は、フラクタルノイズを使った方法です。
フラクタルノイズは、ノイズの程度を調整し、アニメーションさせることにより、煙や雲などの表現ができるエフェクトです。
今回は、このフラクタルノイズを使って、水面のような質感を表現し、2Dの素材に合成することで、疑似的な水面を作成していきます。
それでは、作業用の新規コンポジションを作成しましょう。
水面のベースを作成する①|フラクタルノイズ
今回は、下記の船の画像の砂地の部分に、水面の表現を加えていきたいと思います。
Photo by Zoltan Tasi on Unsplash
新規平面レイヤーを作成します。色などの設定はデフォルトでかまいません。名前は任意で付けておきます。
名前については、どんな役割のレイヤーなのかが分かるよう、名前をつける癖をつけておくことをおすすめします。今回はフラクタルノイズを適用するのでFNと付けておきます。
3Dスイッチにチェックを入れます。
回転、スケール、位置を調節し、画像のように船底が少し隠れるくらいの位置に設定します。
今回の設定はこちら。
- 位置:960,972,0
- スケール:132%
- X回転:-80
この平面レイヤーにノイズ&グレイン>フラクタルノイズを適用します。
今回の設定はこちら。
- Contrast(コントラスト):160
- Scale(スケール):125
- Evolution(展開):エクスプレッションを追加 time*200
水面のベースを作成する②|タービュレントディスプレイス
このフラクタルノイズを適用した平面レイヤーをプリコンポーズします。プリコンポーズの設定は、2種類ありますが、「すべての属性を新規コンポジションに移動する」を選択します。
「新規コンポジションを開く」にチェックを入れておくと、プリコンプした新規のコンポジションの中を開いてくれます。
プリコンポーズしたコンポジションを開きましょう。
先ほどの平面レイヤー「FN」の上に、調整レイヤーを追加します。
名前を「TD」としておきます。
この調整レイヤーにディストーション>タービュレントディスプレイスを適用します。
タービュレントディスプレイスは、イメージをランダムに歪ませることができるエフェクトです。
今回の設定はこちら。
- Amount(量):30
- Size(サイズ):55
- Evolution(展開):エクスプレッション追加 time*200
いったん、水面のベースは完了です。
水面の揺らぎを作成|ディスプレイスメントマップ
はじめのコンポジションに戻ります。
FNのレイヤーを非表示にしておきます。
レイヤーの一番上に、調整レイヤーを作成します。名前を「DM」とします。
この調整レイヤーに、ディストーション>ディスプレイスメントマップを適用します。
ディスプレイスメントマップは、歪みのマップとなるレイヤーを、コンポジション内のレイヤーから選択し、上下左右にピクセルをずらすことでイメージを歪めることのできるエフェクトです。
今回の設定値はこちら。
- Displacement Map Layer(マップレイヤー):
- Use for Horizontal Displacement(水平置き換えに使用):輝度
- Max Horizontal Displacement(最大水平置き換え):73
- Use for Vertical Displacement(垂直置き換えに使用):輝度
- Max Vertical Displacement(最大水平置き換え):75
マップで指定したレイヤーを歪ませるので、はじめにフラクタルノイズを適用する平面レイヤー(※水面のベースを作成する①|フラクタルノイズ)のスケール調整の際は、少し大きめサイズにしておきましょう。
水面に反射を作る|ミラー
最後に、水面部分に反射しているような表現を加えます。反射を作る方法はいくつかありますが、今回は擬似的+より簡単に表現できる、ミラーというエフェクトを使用します。
背景になっている画像を選択し、ディストーション>ミラーを適用します。
今回の設定値はこちら。
- Reflection Angle(反射角度):90°
反射の中心の位置を、水面よりも下に持ってきます。
これで、擬似的な反射の表現ができました。
水面の位置の調整は、フラクタルノイズのコンポジションに入って、調整し直してみてください。
テキストなども追加して合成することもできます。
ぜひ、試してみてください。
After Effectsで揺らぐ水面を作る方法②波紋のベースを揺らす
2つ目は、波紋の元となる素材を作成し、それをアニメーションさせて揺らいでいるように見せる方法です。
方法はいくつかありますが、今回はシェイプレイヤーとタービュレントディスプレイスで波紋の形状を作成し、水面のゆらめきを加えていくという流れで紹介していきます。
波紋のベースを作成する①
元となる波紋のベースを作成します。
まずは、新規シェイプレイヤーを作成しましょう。
このシェイプレイヤーに円形のシェイプを3つ作成します。
- 線幅:5
- 塗り:黒
このとき、ひとつのレイヤー内に3つの円を作成してください。下記のようにサイズや位置を調整します。
一番大きな円が上に来るように順番を設定してください。
この3つの円のかたまりをリピーターで複製します。リピーターは、三角マークの「追加」から選択できます。
- コピー数:15
- 位置:260,45
この位置の設定は、リピーターの中のTransform>位置で設定してください。
※位置の数値は参考なので、お好みで調節してください。
さらに2つ目のリピーターを追加し、下記のような位置になるよう、リピーターの位置を調整します。
- コピー数:15
- 位置:100,252
※位置の数値は参考なので、お好みで調節してください。シェイプレイヤー同士が少し重なるようにすると良いでしょう。
こちらもリピーターの中のTransform>位置で設定してください。
次に、画面全体にシェイプがくるよう、シェイプレイヤーの位置を調整します。
こちらは、レイヤーの「位置」で設定してください。
このシェイプレイヤーに、キーイング>リニアカラーキーを適用します。
リニアカラーキーは、単色のカラーを指定し、その部分をキーイング(消す)することができます。キーカラーでシェイプレイヤーの黒い部分を指定します。
すると、線の部分のみが残り、他は透明になります。
描画>塗りを適用します。
今回は下記の色に設定しました。
- 塗り:CAF5FF
これで、波紋の基本の形ができました。
波紋のベースを作成する②|タービュレントディスプレイス
波紋のように見せるために、このシェイプの集まりを歪ませます。使用するのはディストーション>タービュレントディスプレイスです。
今回の設定値はこちら。
- Displacement(変形):Bulge Smoother(バルジスムーサー)
- Amount(量):20
- Size(サイズ):200
- Complexity(複雑度):4
- Evolution(展開):エクスプレッション使用 time*40
エクスプレッションを適用することで、自動的に動くように設定しました。
波紋のベースを作成する③ |Wave Warp(波形ワープ)
さらに、波形ワープを追加します。
波形ワープは、一定の間隔で規則的に繰り返す波の形状でイメージを歪めることができるエフェクトです。波の形状は指定することができます。
今回の設定値はこちら。
- Wave Type(波形の種類):円形
- Direction(方向):150
- Wave Speed(波形の速度):0.3
タービュレントディスプレイスで作成したシェイプの動きに加えて、輪郭部分に波形のうねりが加わりました。
波紋のベースを作成する④ |Rough Edge(ラフエッジ)
次に、スタイライズ>ラフエッジを適用します。輪郭線に適度な粗さを作ります。
今回の設定値はこちら。
- Border(縁):1.5
これで波紋の動きの基本の形ができました。
背景を作成する|Gradient Ramp(グラデーション)
背景を作成します。
新規平面レイヤーを作成し、レイヤーの順番を一番下に持ってきます。描画>グラデーションを適用します。
水の色をお好みで設定しましょう。
今回の設定値はこちら。
- カーブの開始:-92.0,-72.0
- 開始色:E8F9FF
- 終了色:1182A4
水面全体の調整①|影の作成
ここからは水面全体を調整していきます。
シェイプレイヤーの名前を「surface1」とします。
これを複製し、「surface1 shadow」とします。
こちらが影の部分になるので、レイヤーの順番を「surface1」の下に持ってきます。
塗りの色を暗めの色に設定し、位置を下方に少しずらします。
不透明度を下げて、さらにブラー&シャープ>ブラー(ガウス)をかけます。
今回の設定値はこちら。
- 塗り:005B6F
- 不透明度:20
- ブラー:10
※位置の数値や塗りの色はお好みで変更してください。
水面全体の調整②|奥行きの追加
さらに「surface1」を複製し、「surface2」とリネームします。
「surface1 shadow」の下に移動します。
線幅をあげて、塗りの色を変更し、スケールを拡大します。こうすることで、より奥行きのある水面を作っていきます。
今回の設定値はこちら。
- 線幅:10
- 塗り:60D2FF
- スケール:112%
- 不透明度:15
※数値はお好みで変更してみてください。
水面全体の調整③|気泡の追加
水面のイメージに気泡を追加します。
「surface1」を複製し、名前を「bubble」とします。
線幅と波形ワープの高さ、幅を変更します。
今回の設定値はこちら。
- 線幅:1
- 波形の高さ:100
- 波形の幅:10
これで、ゆらめく水面に小さな気泡を作ることができました。
水面全体の調整④|水面のイメージにパースを追加
3D要素を追加して、水面全体に奥行きを出します。
シェイプレイヤー全てを選択し、プリコンポーズします。
このプリコンポーズしたレイヤーを、揺らぐ水面を作る方法①で紹介したように、3Dレイヤーにして回転を操作しても良いのですが、今回はディストーション>CC Power Pinを使用します。
CC Power Pinはイメージの頂点を移動させてイメージ全体を歪ませます。
頂点を手動で操作するので、直感的な操作で擬似的に奥行きがあるように見せることができます。
以上です。
さらにレンズフレアやグローをかけたりなど、お好みで調節してみてください。
After Effectsで水を表現する際に参考になる動画5選
After Effects エフェクト講座 水面編
複数のエフェクトを使用し、水面のゆらめきもかなりリアルに表現されてる動画です。
【After Effects】液体のアニメーションの作り方:波形ワープとCC Bubbles
波打ったような液体を簡単なイラストで表現する方法です。このようなアニメーション動画は需要も多く、使用頻度も高いので、覚えておくと良いと思います。
海の中に沈んだテキスト / After Effects CC2019 使い方講座 [ライブ動画]
フラクタルノイズを使用した動画です。水面だけでなくテキストと合成するなどの表現も可能です。
波紋が広がるエフェクト 電波とタービュレントディスプレイス/ After Effects CC2019 使い方講座 [ライブ動画]
こちらもテキストと合成した動画です。波紋が広がるような表現ができます。
形状は電波エフェクトを使用しています。
水中のオブジェクトをシミュレートする
https://helpx.adobe.com/jp/after-effects/how-to/water-ripple-underwater-effect.html
Adobe公式のチュートリアル動画です。プロジェクトファイルもダウンロードできるので、練習にもおすすめです。
After Effectsで揺らぐ水面を作ってみよう!
After Effectsを使用して、揺らぐ水面を作成する方法を紹介しました。方法は一つではありません。さまざまな方法を試してみて、自分にあった方法を見つけてみてください。また、複数のエフェクトを重ねることでよりリッチな表現が可能です。今回紹介した方法以外にもたくさんの動画を参考にしながら、表現方法を磨いてみてください。