AdobeソフトであるInDesign(インデザイン)は、本やポスター、PDF書類のレイアウトが簡単にできるソフトです。インパクトのある印刷物が制作できるInDesignでは、画像を使用することも多くあります。入稿する制作物の画像を配置するには、リンクと埋め込みという2つの種類があるのをご存知でしょうか。
配置についての基本知識【リンクと埋め込みとは?】
そもそも、画像配置の2つの種類「リンク」「埋め込み」とはどういったものか不明な人も多いでしょう。そんな人のために、リンクと埋め込みそれぞれの基本知識から解説していきます。
リンクと埋め込みの違い|InDesignでの画像配置
リンクと埋め込みは、画像自体に違いがあるわけではなく、画像を配置する手段に大きな違いがあります。実際に仕上がりを見てみると、まったく同じように見えますよね。
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見た目上では同じ2つのデザインですが、それぞれ違った配置のされ方をしています。
リンクで配置された画像は、画像の位置だけを指定してInDesign上に表示させています。仕上がりを見ると画像は表示されていますが、リンク画像の場合はInDesign上に画像データの情報は存在しないということです。
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そのため、入稿する際は画像データの情報も一緒に送る必要があります。
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画像が一緒に入稿されていないと、「画像不備」として印刷されません。万が一印刷されることになっても、画像がない部分は真っ白になって印刷されることになります。
一方埋め込み画像は、InDesign上に画像データがある状態です。
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InDesign上に画像データがあるため、入稿する際にわざわざ画像を一緒に入稿する必要はありません。
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リンク画像のメリット・デメリット|InDesignでの画像配置
■リンク画像のメリット①
リンク画像の大きな魅力は、InDesignデータが軽くなることです。InDesign上に画像データがあるわけではないため、データ量は画像分以外で済みます。データが軽いとひんぱんに保存ができ作業自体がスムーズに行えるため、ストレスなく作業を進めることが可能です。
■リンク画像のメリット②
リンク画像は、「ここにあるファイルをこの場所に配置する」といった指示がされています。そのため、ファイル名が同じなら画像の中身を変えることができます。
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ファイル名さえ変えなければ、画像の編集も自由自在です。実際にデザインに組み込んだときに明度や彩度が気になった場合も、いちいち配置し直すことなく元の画像を修正するだけで作業が完了します。
■リンク画像のデメリット①
リンク画像を格納しているファイルが移動したり、画像ファイルの名前を変更したりすると、リンク切れが起こりInDesign上で画像が表示されません。この状態のまま入稿しても、リンク切れを忠告されて再入稿する必要があります。
埋め込み画像のメリット・デメリット|InDesignでの画像配置
■埋め込み画像のメリット①
埋め込み画像でデータを作るとInDesign上に直接画像データが貼られるため、いちいちデータを整理する必要がなくなります。「データ管理が苦手!」という人は埋め込み画像でデータを作るとトラブルを減らすことが可能です。
トラブルを防ぐため、多くの印刷会社では入稿方法に画像の埋め込みを指定しています。
<画像配置は埋め込みを推奨します>
画像の埋め込みとは、配置した画像データを、ファイル内に埋め込んでしまうことです。
画像を埋め込むとファイルの容量が増えますが、ファイルと一体化するのでリンク切れなどのトラブルを防ぐことができます。また、プレビュー画像も、詳細に表示されます。
画像(埋め込み画像とリンク画像)の配置方法/株式会社ウェーブ
印刷会社によって指示が異なるため、入稿ガイドを必ず確認して入稿するように心がけましょう。
■埋め込み画像のデメリット①
埋め込み画像の大きなデメリットは、なんといってもデータが重くなることです。画像の枚数を増やせば増やすほどデータ量は膨大になり、作業進行やデータ保存にかなりの時間を要します。
■埋め込み画像のデメリット②
埋め込み画像は、InDesignに画像を配置した時点での画像データが保持されます。そのため、画像を配置したあとに画像を修正してしまうと、一回一回置換し直す必要があります。
何度も画像を編集する予定がある場合は、配置だけ決定しておいて画像の編集が完了してから配置する方法がおすすめです。
InDesignで画像を配置する方法①リンク配置
新規レイアウトを開く|InDesignのリンク画像配置
まずはInDesignを立ち上げ、新規レイアウトを立ち上げます。
実際に印刷するサイズと同じ比率のサイズを設定しておきましょう。
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リンク配置したい画像を選ぶ|InDesignのリンク画像配置
上部のオプションバーから[ファイル]→[配置]を選択し、リンク配置したい画像を選びます。
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画像を選択して[開く]をクリックすると、InDesign上に画像が配置されます。
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画像の大きさを調整する|InDesignのリンク画像配置
画像の大きさを好きなように調整します。[shiftキー]と[commandキー]を同時に押しながら画像を動かすと、画像の比率と表示をそのままにしながら画像の拡大・縮小が叶います。
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画像を好きなように配置する|InDesignのリンク画像配置
基本的なリンク画像の配置方法は以上です。このやり方を参考に、画像を好きなようにレイアウトしていきましょう。
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画像修正も簡単に対応!|InDesignのリンク画像配置
例えば右上のメロンをマスカットに変更したい場合も、リンク配置なら場所やサイズをそのままで簡単に置き換えることができます。
置き換えたい画像をクリックしながら、上部のオプションバーから[ファイル]→[配置]をクリックし、リンク配置したい画像を選択。
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マスカットの画像を選び[開く]をクリックするだけで、右上の画像が変わりました。
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左のフルーツが集合した画像の彩度をあげたい場合は、元の画像を修正するだけです。画像のファイル名が同じ場合、InDesign上で何も操作せずとも自動的に画像が変わります。
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InDesignで画像を配置する方法②埋め込み配置
次に、InDesignで画像を埋め込む方法を解説します。実は、InDesignには画像を最初から配置する方法は存在せず、まずはリンク画像を配置してから埋め込み画像に変更するといった操作が必要です。
リンクパネルを出現させる|InDesignの埋め込み画像配置
リンク画像を埋め込み画像に変換するには、リンクパネルが必要です。上部のオプションバーから[ウィンドウ]→[リンク]を選択して、リンクパネルを表示させます。
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画像を埋め込む|InDesignの埋め込み画像配置
埋め込みに変えたい画像を選択して、リンクパネル右上のパネルメニューをクリックします。
そのなかから「リンクの埋め込み」をクリックするだけで、簡単に画像が埋め込みになりました。
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リンク画像と埋め込み画像の見分け方はふたつ。元の画像にクリップのようなリンクマークがあり、リンクパネルのファイル名の横に印がなければリンク画像です。
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一方、元の画像に何もついておらず、リンクパネルのファイル名の横に埋め込みマークがついていれば、埋め込み画像ということがわかります。
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複数画像を埋め込む場合|InDesignの埋め込み画像配置
複数個の画像を埋め込みたい場合は、埋め込みたい画像を全て選択した上で上記の操作を行います。
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一気に操作をすることで、作業効率をアップすることができますよ。
InDesignで画像を埋め込む時の注意点
データが重くなる|InDesignで画像を埋め込む注意点
画像を埋め込むとInDesign上に画像データが載るため、どうしてもデータが重くなってしまいます。ページ数が多い冊子などを制作する場合は、埋め込みではなくパッケージする方がおすすめです。
画像更新が反映されない|InDesignで画像を埋め込む注意点
リンク画像とは違い、埋め込み画像は画像更新が自動的に反映されません。気づかないまま入稿してしまうと、画像の状態が古いままのものが印刷されてしまうので、画像のバージョンには最新の注意を払いましょう。
InDesignで画像を埋め込み・配置しよう!
InDesignで画像を配置するには、リンクと埋め込みの2つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、目的や手段に合わせて画像の配置方法を使い分けることをおすすめします。
埋め込み画像の配置は入稿時に推奨されている方法ですが、データが重くなったり画像更新が反映されないといった注意点もあります。入稿前はデータが最新の状態か細かく確認するようにしましょう。