Photoshop(フォトショップ)の「被写体を選択」機能は、ワンクリックで被写体を簡単に切り抜ける、とても便利なツールです。さらに、2022年8月のアップデートでクラウドモードが導入され、精度と使いやすさが飛躍的に向上しました。プロのデザイナーから初心者まで、誰でも直感的に操作できるこの機能は、写真編集の可能性を大きく広げてくれます。
Photoshop「被写体を選択」で切り抜く
「被写体を選択」で切り抜く|①画像をPhotoshopで開く
まずは、「被写体を選択」機能を使いたい画像をPhotoshopで開きます。
画像をPhotoshopで開くには、Photoshopを立ち上げた時に表示される「開く」を選択するか、上部メニューバーから「ファイル」タブを選択し、「開く」をクリックします。
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任意の画像が保存されている場所を探し、画像を選んだら右下の「開く」をクリックしましょう。
これでPhotoshopで画像を開くことができました。今回はこちらの画像を使って「被写体を選択」機能を解説します。
「被写体を選択」で切り抜く|②オプションバーから「被写体を選択」を選ぶ
画像の用意ができたら、早速「被写体を選択」機能を使っていきましょう。
まずはツールバーから「オブジェクト選択ツール」「クイック選択ツール」「自動選択ツール」のどれかを選択します。
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オプションバーに現れる「被写体を選択」の右側のドロップダウンをクリックし「クラウド(詳細な結果)」を選択します。
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クラウド(詳細な結果):処理に少し時間がかかるが切り抜き精度が上がる
「被写体を選択」で切り抜く|③自動で被写体が選択される
「被写体を選択」をクリックすると、画像のように自動的に選択範囲が生成されます。
複雑な画像や、被写体とその周りの色味が似ている画像など、被写体を認識しにくい画像を使う場合はこの自動認識に時間がかかります。
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「被写体を選択」で切り抜く|④「選択とマスク」で細かく調整して切り抜き
髪の毛の切り抜きなど、さらに細かく調整をしたい場合は、画面上部にある「選択とマスク」を使います。
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「髪の毛を調整」や「境界線調整ブラシ」ツールを使って任意の箇所を細かく選択していきます。
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それから「エッジの検出」や「グローバル調整」の設定値を変更し、切り抜き範囲、切り抜き型を決定します。
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- 『エッジの検出』 : 半径の数値を小さくすると境界線がシャープに、大きくすると境界線がソフトになります。
- 『スマート半径』 :対象物の部位に合わせて自動的に境界線のエッジが調整されます。
- 『滑らか』 :境界線のガタつきを緩和し、アウトラインを滑らかにします。
- 『ぼかし』 :選択範囲とその周りのピクセルの間をぼかします。
- 『コントラスト』 :値を大きくすると境界線のエッジがくっきりとします。
- 『エッジをシフト』 :負の数値にすると境界線が内側に移動し、境界線に混ざり込んだ背景色を取り除けます。
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設定が完了したら、「出力設定」の中の出力先を「レイヤーマスク」にして「OK」をクリックします。
すると、下の画像のように被写体だけが切り抜かれた状態が完成です。
「被写体を選択」での切り抜きがうまくいかないときは?
「被写体を選択」機能は、Photoshopが写真の色の差などを判断して被写体を選択してくれる機能ですので、被写体がたくさん写っていたり、複雑な画像の場合はうまく切り抜きができません。
被写体を選択がうまくいかない|①欲しい範囲が選択されなかった場合
「被写体を選択」機能を使った際に、Photoshopが思い通りの箇所を選択範囲に選んでくれない場合があります。その場合には、選択範囲を手動で追加する必要があります。
選択範囲を追加するには様々な方法がありますが、1番簡単なのが「多角形選択ツール」を使った方法です。
まず、「多角形選択ツール」を選び、上部バーにある「選択範囲に追加」を選びます。
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あとは追加したい部分をクリックして囲ってダブルクリック。
「被写体を選択」で選択されなかった部分を選択範囲に追加することができます。
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被写体を選択がうまくいかない|②不要な部分が選択されてしまう場合
先ほどとは反対に、必要ない部分が誤って選択範囲になってしまった場合の対処法です。
この場合にも選択範囲から必要のない部分を手動で削除する必要があります。
先ほどと同様に「多角形選択ツール」を選択し、今度は上部バーの「現在の選択範囲から一部削除」を選んでおきます。
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この状態で必要のない部分をクリックして囲うことで、選択範囲から削除することができます。
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選択範囲を追加/削除する別の方法
「多角形選択ツール」での選択ではすごく手間のかかってしまう、とても複雑な部分を選択範囲に追加したり削除したりする場合に使えるのが、「自動選択ツール」です。
自動選択ツールを使うには、ツールバーから「自動選択ツール」を選択して、オプションバーから「選択範囲に追加」か「現在の選択範囲から一部削除」を選択します。
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選択できたら、追加したい範囲または削除したい範囲にカーソルを合わせ、クリックします。するとクリックした場所周辺の同じような部分が、自動的に選択範囲に追加(または選択範囲から削除)されます。
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「被写体を選択」ツールが使えない原因
「被写体を選択」ツールがうまく使えないケースは以下の原因が考えられます。
詰まってしまった場合は確認してみてください。
「被写体を選択」ができない原因|①背景レイヤーのままの場合
背景レイヤーは編集に制限があり、切り抜き作業がスムーズに進まないことがあります。
この場合、背景レイヤーを通常のレイヤーに変更しましょう。レイヤーを右クリックして「レイヤーを解放」を選択すると、編集可能な状態になります
「被写体を選択」ができない原因|②スマートオブジェクトの場合
スマートオブジェクトは非破壊編集が可能ですが、直接の編集には適していません。
スマートオブジェクトを右クリックし、「ラスタライズ」を選択することで通常のレイヤーに変換でき、直接編集が可能になります。
「被写体を選択」ができない原因|③ロックがかかっている場合
ロックされたレイヤーでは切り抜き作業ができません。
レイヤーパネルで鍵のアイコンをクリックしてロックを解除すると、レイヤーが編集可能になります。
Photoshopの「被写体を選択」はどんな時に使う?
Photoshopの「被写体を選択」で写真を合成する
まず、Photoshopの「被写体を選択」を使うと、指定した被写体だけを選択することができます。被写体だけを選択範囲に指定できると、写真から被写体だけを残して残りの部分を消すことができます。
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被写体を残して背景を変更すれば、全く別の場所で撮影された写真のようにすることが可能です。
Photoshopの「被写体を選択」でポートレートの背景をぼかす
Photoshopの「被写体を選択」を使って被写体を選択した後に選択範囲を反転すると、先ほどとは逆に被写体以外の部分を全て選択することができます。
その状態で被写体以外の部分をぼかし加工することで、被写体だけにピントがあったポートレート風の写真に加工することができます。
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人物写真や花や動物などの写真を撮った時に、写真全体にピントが合って雰囲気が出ない場合などに使えるテクニックです。
「被写体を選択」で不要な部分を見えなくする
先ほどと同様の方法を使って、被写体以外の部分を見えなくしたりモザイクをかけたりすることができます。
このテクニックを使えば、SNSに自撮りを載せる場合などに、写真に写ってしまった見せたくない不要な部分を隠すことができます。また、逆に被写体を選択してモザイクをかけたい場合にも使えます。
「被写体を選択」で印象的な写真に仕上げる
Photoshopの「被写体を選択」を使って被写体を選択すると、被写体だけの明度や彩度を調節することができます。
例えばモノクロの写真の被写体だけをカラーにしたり、被写体とその周りの部分との色味を対比させたりすることで、印象的な写真に加工することができます。
「被写体を選択」以外で切り抜く方法
「被写体を選択」はとても便利なツールですが、他の範囲選択ツールが適しているケースもありますよね。
代表的なものをいくつかご紹介します。
複数人の中から一人だけ切り抜きたい時|オブジェクト選択ツール
「オブジェクト選択ツール」は囲んだ範囲の中から自動的に対象を選択するツールです。
こちらのツールを使えば「被写体を選択」ではうまくできない、複数人の中から一人だけを選択することが簡単にできてしまいます。
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いろんなオブジェクトを合わせて選択したい時|クイック選択ツール
「被写体を選択」や「オブジェクト選択ツール」ではオブジェクト単位ではっきりと選択範囲が規定されますが、
「クイック選択ツール」を使うとドラッグしながら徐々に選択範囲を広げていくことができます。
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Photoshopで被写体を選択を使いこなそう!
ここまで、Photoshopの「被写体を選択」が使い方やうまくいかない時の対処法、「被写体を選択」が使用できるケースなどをご紹介してきました。
この機能は専用機材なしで簡単に選択範囲を生成でき、切り抜きができる便利な機能です。
切り抜いた画像をうまく馴染ませる方法についても記事を作成しておりますので、よければこちらもご覧ください。