Illustrator(イラストレーター)でオブジェクトのカラーをモノクロに変更する方法を紹介します。
また、部分的にモノクロにする方法や、白黒で印刷する方法などについても詳しく解説していきます。
Illustratorでオブジェクトをモノクロにする方法
詳しく解説しているので手順が多く感じるかもしれませんが、慣れると数秒で変換可能です。
オブジェクトを作成・または取り込み|Illustratorでのモノクロ設定方法
まず白黒にしたいオブジェクト(図形など)を作成するか、データをIllustratorへ取り込みましょう。
今回は「正円(楕円形オブジェクト)」と、Illustratorのデータである「aiファイル」、そして「写真(jpgファイル)」の3種類をモノクロへ設定していきます。
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以上のように、今回3つのオブジェクトをモノクロ化していきますが、写真の場合のみ「画像をIllustratorへ埋め込む」という下準備が必要になります。
画像の埋め込みについて次のステップで詳しく解説しますが、取り扱うオブジェクトが写真ではない場合は次のステップは飛ばして下さい。
画像を埋め込む(写真の場合)|Illustratorでのモノクロ設定方法
「写真(画像)」をモノクロに変更する場合のみ、「Illustratorへ埋め込む」という下準備が必要になります。
通常、Illustratorへドラッグなどで取り込んだ画像データは「リンクファイル」という扱いになっており、元データである画像ファイルを別フォルダなどへ移動してしまうとIllustrator上で「データが見つかりません」という警告が表示されます。
これはIllustratorが処理を軽くするために、データ自体を取り込むのではなくデータへのリンクを記録して毎回読み込むような仕様となっているため起こります。
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このような「リンクファイル」扱いのままではモノクロ化できない仕様なので、画像ファイルをIllustratorへ埋め込みしていきましょう。
まず、「選択ツール」で取り込んだ画像(写真)を選択した状態で、Illsutrator画面上のメニューバーより「ウィンドウ」→「リンク」と進み、リンク設定パネルを表示します。
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次に、リンクパネル内に表示されている画像ファイルをクリック後、パネル内右上にある「三」のようなボタンから拡張メニューを開きましょう。
後は、中央付近にある「画像を埋め込み」をクリックするとリンクファイル状態の画像がIllustratorへ埋め込みされ、モノクロ化ができる状態となります。
これで画像の埋め込みが完了です。
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ロックの解除|Illustratorでのモノクロ設定方法
Illustratorでオブジェクトをモノクロ化する際に、オブジェクトそのものや、オブジェクトに含まれるパーツがロックされているとモノクロ化できない仕様となっています。
なので、オブジェクトがロックされていないか確認し、ロックされている場合は解除するようにしましょう。
手順は、まずIllustrator画面上のメニューバーより「選択」→「すべてを選択」と進みます。次に、同じくメニューバーより「オブジェクト」→「すべてをロック解除」と進むことでロックがかかっているオブジェクトをロック解除することができます。
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ロックされているオブジェクトが一切含まれていない場合は、「すべてをロック解除」がクリックできないようになっているので、この場合はすでにロックが解除済みだということになります。
グレースケールに変換|Illustratorでのモノクロ設定方法
では、実際にモノクロへ変換していきましょう。
まず、画面上のメニューバーより「選択」→「すべてを選択」と進み全てのオブジェクトを選択した後、同じくメニューバーより「編集」→「カラーを編集」→「グレースケールへ変換」と進みましょう。
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これでオブジェクトがモノクロへ変換されます。
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なので、元となる写真を保護するためにも、必ず編集しているIllustratorファイルを「別名で保存」をするようにしましょう。
メニューバーより「ファイル」→「別名で保存」から名前を付けて別名保存することができます。
白黒の濃淡を調節|Illustratorでのモノクロ設定方法
最後に、モノクロの濃淡調節を行いましょう。調節の必要がない場合はこの手順は省いて構いません。
まず、グレースケールに変換した際と同じようにメニューバーより「選択」→「すべてを選択」と進み、オブジェクトを選択します。
次に、メニューバーより「編集」→「カラーを編集」→「カラーバランス調整…」と進み、カラー調整設定パネルを表示させます。
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設定パネル内にて、【カラーモード】が「グレースケール」となっていることを確認し、下部にある【プレビュー】にチェックを入れ、スライダーを左右に動かして濃淡を調節しましょう。
プレビューにチェックを入れるとスライダーの値がリアルタイムでオブジェクトに反映されるため、視覚的に濃淡を調節することができます。
濃淡設定が完了したら「OK」で確定しましょう。
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これでオブジェクトのモノクロ化作業が完了です。
Illustratorでオブジェクトを部分的にモノクロにする方法
モノクロ化したい形のオブジェクトを作成する
写真やオブジェクトの一部をモノクロ化していく際に、四角形や円形など、モノクロ化したい形を作成します。
今回は写真の一部を円形にモノクロ化していくので、「楕円形ツール」で正円を作っていきます。
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オブジェクトのカラーをグレースケールへ変更
作成した正円のカラーを「グレースケール」へ変更しましょう。
「選択ツール」で正円を選択した状態で、画面上のメニューバーより「編集」→「カラーを編集」→「グレースケールへ変換」と進みましょう。
この作業により、正円にグレースケールが適用されます。
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オブジェクトの描画モードを「色相」へ変更
最後に、作成した正円の描画モードを「色相」へ変更すると、正円が重なった部分がモノクロに描画されるようになります。
まず「選択ツール」で正円を選択した状態で、Illustrator画面上のメニューバーより「ウィンドウ」→「透明」と進み、透明設定パネルを表示します。
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次に、パネル内にあるドロップダウンメニューから「色相」を選択しましょう。すると正円オブジェクトが重なった部分がモノクロとして描画されるようになります。
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万が一、「色相」でできなかった場合は「彩度」に設定してみて下さい。
この正円オブジェクトは「選択ツール」の状態でドラッグすることで自由に移動させたり、通常通りサイズの拡大縮小なども行うことができます。
Illustratorでモノクロ印刷する方法
新規作成時のカラー設定を「CMYK」へ変更
Illustratorでファイルを新規作成する際にアートボードサイズを指定する設定パネルが表示されます。
このパネル内に【カラーモード】という設定項目があるので、ここで「CMYKカラー」を選択しましょう。
もし【カラーモード】が見当たらない場合は、「詳細オプション」という項目をクリックして閉じられたメニューを展開することで見つけることができます。
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デフォルトでは「RGBカラー」となっていますが、
RGBカラーはPCやWEB上で使用する場合に適したカラー設定となり、
「CMYKカラー」は紙などに印刷する場合に適したカラー設定となります。
RGBカラーからCMYKカラーへの変更はファイルの新規作成時に限ったものではなく、既に完成しているデータの場合や制作途中のデータの場合でも、「ファイル」→「ドキュメントのカラーモード」からいつでも変更することが可能です。
RGBとCMYKで見た目の色合いが少し変わるので、できるだけ早い段階でCMYKへ変更するようにしましょう。
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余談ですが、RGB設定での黒は様々なカラーで作り出した黒なので、印刷時にインク各色を大量に消費します。
CMYKでの黒(K)は純粋な黒となるので、インクの消費が最小限で済みます。
白黒データを作成
グレースケール化したデータを作成します。
この記事の一番初めの見出し「Illustratorでオブジェクトをモノクロにする方法」で白黒データを作成する手順を詳しく解説しています。
そちらの方法を参考にして、白黒印刷したいデータを作成して下さい。
「プリント」から印刷を行う
最後に印刷方法についてとなります。
Illustrator画面上のメニューバーより「ファイル」→「プリント」と進み、プリント設定パネルを表示します。または、ショートカットキーCtrl + P(Macの場合はCommand + P)で開くことも可能です。
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基本的にはそのままの設定で問題ありませんが、PCやプリンターの環境などによって設定が必要になる場合もあります。
まず、設定パネル内上部にある【プリンター】の項目で、PCに接続している適切なプリンターが選択されているか確認しましょう。
パネル内左下にある【プリンター(U)…】から、プリンター側の設定画面を表示することができます。プリンター側の設定でもし「カラー印刷」となっている場合は「白黒印刷」へ変更しておきましょう。
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印刷設定が完了したら設定パネル内右下にある【プリント】から実際に印刷を行うことができます。
Illustratorでモノクロ作品を作ってみよう
今回はイラストレーター(イラレ)でオブジェクトのカラーをモノクロに変更する方法について紹介しました。
今回紹介したように、Illustratorではaiファイルやベクターファイルはもちろん、写真や画像もモノクロ化することができます。
モノクロ印刷する際は、インクを節約するためにも必ずRGBではなくCMYKに設定するようにしましょう。