Illustratorで作成したデータを印刷会社に入稿する際に必須の「トンボ」を簡単に作る方法を解説します。
Illustratorの「トンボ」とは?
トンボ(トリムマーク)は仕上りサイズを示す印
トンボとは、印刷物の仕上りサイズを正確に示す印のことで、このトンボによって示された仕上りラインに沿って印刷会社は裁断してくれます。
また、表裏を合わせたり、折り加工する際の目安にもなります。Illustratorではトリムマークとも呼ばれます。
ガイドラインの役割
印刷会社では大量の紙を一気に裁断するため、裁断に多少ずれが発生することがあります。ガイドラインは、こうした裁断のずれに対応するためのラインです。
ガイドラインには仕上りライン、塗り足しライン、文字切れラインの3つがあります。
- 仕上りライン:裁断するライン
- 塗り足しライン:仕上りラインより外側まで塗り足されるライン
- 文字切れライン:オブジェクトを配置する限界ライン
仕上りラインは、印刷物の仕上りサイズを示すラインで、印刷会社ではこのラインに沿って裁断します。
塗り足しラインは、仕上り線より外側にあるラインで、通常3mm外側にあります。裁断が多少ずれても不自然にならないように、このラインまで背景のカラーが塗り足されます。
文字切れラインは、仕上りラインの内側にあるラインで、通常3mm内側にあります。裁断が多少ずれてもオブジェクトが切れてしまわないように、このラインより外側にはオブジェクトがはみ出ないようにします。
トンボ(トリムマーク)の種類
トンボ(トリムマーク)には、以下の3種類があります。
- 角トンボ:四隅に位置し、印刷物の仕上りサイズを示すトンボです。角トンボで示されたラインに沿って裁断されます。
- センタートンボ:上下左右の真ん中に位置し、センターを示すトンボです。表裏を合わせる目安にもなります。
- 折りトンボ:印刷物を折り加工する際の目安になるトンボです。三つ折りや製本などで必要になります。
Illustratorのトンボの作り方!
Illustratorで入稿する場合のトンボの作り方
Illustrator形式で入稿する場合のトンボ(トリムマーク)の作り方を解説します。
①ドキュメントの新規作成
Illustratorでドキュメントを新規作成します。今回はチラシを作る想定で、A4(210×297mm)サイズを選択します。裁ち落とし設定は初期設定で3mmとなっていますので、そのまま作成しましょう。
②仕上りサイズの長方形をアートボードに合わせる
次に、仕上りサイズと同じ大きさの長方形を作成します。長方形ツールを選択し、画面をクリックすると長方形のサイズを入力するボックスが表示されます。このボックスに仕上りサイズと同じ「210×297mm」を入力すると、仕上りサイズで長方形が作成されます。
整列パネルを使い、作成した長方形をアートボードにぴったり合わせます。整列パネル右下のプルダウンメニューから「アートボードに整列」を選択します。他のオブジェクトがなければ最初から「アートボードに整列」になっています。
横と縦を合わせるボタンをクリックし、アートボードにぴったり合わせましょう。
③「トリムマークを作成」でトンボを作る
作成した長方形を選択した状態で、メニューバーから「オブジェクト>トリムマークを作成」を選択します。
トンボ(トリムマーク)が表示されました。レイヤーパネルにはトンボのレイヤーグループが作成されます。
④トンボのレイヤーをロック
最後に、トンボを間違って動かしてしまわないようにロックしましょう。トンボのレイヤーグループの左にある鍵マークをクリックすることでロックできます。
アピアランスのトンボはあまり使わない
Illustratorではアピアランスの効果「トリムマーク」でトンボをつける方法もあります。しかしこの方法は一般的にあまり使われません。
また、対応してくれない印刷会社が多く、入稿先で混乱する可能性もあるので、指示がない限りは使わないようにしましょう。
PDFで入稿する場合のトンボの作り方
PDFで入稿する場合は、PDFで保存する際にトンボを付けることができるので、Illustratorの編集画面でトンボを付ける必要はありません。PDFで保存する際のトンボの作り方を解説します。
①「別名で保存」でPDF形式を選択
Illustratorで「ファイル>別名で保存」を選択し、保存するファイル形式をPDFにしましょう。
②トンボの裁ち落とし設定
保存ボタンをクリックすると、PDFの保存設定画面が表示されます。設定画面にて「トンボの裁ち落とし」を選択すると、トンボの有無や裁ち落とし位置を設定するメニューが表示されます。
「すべてのトンボとページ情報をプリント」をチェックし、さらにその下の「トンボ」をチェックしましょう。裁ち落としの設定では、「ドキュメントの裁ち落とし設定」を選択すると、ドキュメントの新規作成時に設定した裁ち落とし設定が反映されます。
トンボが表示された状態でPDFが作成されました。
ガイドラインの作り方
①塗り足しラインの長方形を作成
塗り足しラインとなる長方形を作成します。前章で作成した、仕上りサイズと同じサイズの長方形を使用します。この長方形を選択した状態でメニューバーから「オブジェクト>パス>パスのオフセット」を選択します。
「パスのオフセット」の設定ボックスにて、オフセットの値を「3mm」に設定します。
仕上りラインより3mm大きい長方形が作成されました。この長方形が塗り足しラインになります。
②文字切れラインの長方形を作成
次に、文字切れラインとなる長方形を作成します。先ほどの塗り足しラインの長方形と同じ手順で、仕上りサイズと同じサイズの長方形をを選択した状態でメニューバーから「オブジェクト>パス>パスのオフセット」を選択します。
「パスのオフセット」の設定ボックスにて、オフセットの値を「-3mm」に設定します。
仕上りラインより3mm小さい長方形が作成されました。この長方形が文字切れラインになります。
③ガイド形式に変更
作成した3つの長方形をガイド形式にして、印刷しても表示されないように設定します。
3つの長方形を選択した状態で、メニューバーから「表示>ガイド>ガイドの作成」を選択します。
3つの長方形がシアン色に変わりました。これでガイド形式になり、ガイドラインは印刷しない設定になります。また、メニューバーの「表示>ガイド」からガイドラインをロックしたり、非表示にしたりすることもできます。
④ガイドのレイヤーをロック
最後に、ガイドラインをロックして、間違って動かしてしまわないようにしましょう。
3つの長方形をグループ化します。ショートカットは以下のとおりです。
Windows:Ctrl + G
Mac :⌘(Command) + G
ガイドラインのレイヤーグループの鍵マークをクリックし、ロックします。これで間違って動かす心配はなくなりました。
トンボを消す方法【Illustrator・PDF】
Illustratorでトンボの表示・非表示をコントロール
Illustratorでトンボを非表示にする場合、レイヤーパネルでロックを解除したうえで、表示切り替えボタンをクリックしましょう。トンボの表示・非表示が簡単にコントロールできます。
レイヤーにトンボがない場合、アピアランスの効果でトリムマークがついている可能性があります。あまり使われる方法ではありませんが、アピアランスパネルを確認してみましょう。
PDFのトンボを消す方法
Adobe Acrobat Pro DCを使ってPDFのトンボを消す方法を解説します。
まず、編集モードにするため、メニューバーから「編集>テキストと画像を編集」を選択します。
編集画面で、編集メニューの「ページをトリミング」を選択します。そして、トリミングしたい範囲をドラッグで選択し、ダブルクリックします。
すると、ページボックスを設定する画面が表示されます。プレビューを確認しながら、余白のサイズを微調整します。
トリミングしたことで、PDFのトンボを消すことができました。
Illustratorのトンボ設定法【印刷】
トンボを印刷しない設定
Illustratorでトンボのみ印刷しないようにするには、通常のプリント設定で大丈夫です。トンボはアートボードの外側に位置しているため、印刷されません。
PDFでトンボのみ印刷しない場合は、前章で解説した通り、Adobe Acrobat Pro DCでトンボを削除してから印刷しましょう。
トンボを含めて印刷する設定
Illustratorでトンボを含めて印刷したい場合は、アートボードのサイズを変える必要があります。
メニューバーから「オブジェクト>アートボード>オブジェクト全体に合わせる」を選択します。
すると、トンボも含まれたサイズにアートボードサイズが変更されます。この状態で印刷すれば、トンボも含めて印刷できます。
ただし、アートボードの外にほかのオブジェクトが残ったままだと、そのオブジェクトも含まれたサイズになってしまいます。不要なオブジェクトは事前に削除しておきましょう。
Illustratorを使ってトンボを作成してみよう!
解説した方法を使えばIllustratorで簡単にトンボを付けることができます。雑誌のイラストや年賀状、名刺など、色々なサイズで応用できます。
トンボは印刷会社への入稿に必須ですし、自分で印刷する場合でもトンボやガイドラインを意識して配置することは重要です。
イラレでのトンボの表示や非表示、印刷方法をしっかりマスターしておきましょう!