Adobe インデザインには商品カタログやチラシ等、大量のテキストや写真のレイアウトに便利な「データ結合」機能があります。決められたフォーマットに対しInDesignが自動で組版を行ない、デザイナーやオペレーターの負担を軽減するとても便利な機能です。
InDesignのデータ結合とは?
大量の写真とテキストを扱うカタログ制作等で活躍するデータ結合
同一フォーマット上に多くの写真やテキストが並ぶレイアウトとして、先ず思い浮かぶのが通販カタログや、スーパーのチラシなどでしょう。
InDesignのデータ結合は、こういったレイアウトデザインを行う際に大いに活躍する機能です。Illustrator等を使い手作業で一つひとつレイアウト作業を行なっている方も多くいますが、時間もかかりレイアウトミスの可能性も高くなります。
こうした作業に比べデータ結合を使った自動組版は、大きな時間短縮とミス軽減に約立ちます。
大量の名刺制作も自動組版で時間短縮できるInDesignのデータ結合
企業などで大量に印刷されることの多い名刺も、同一フォーマットで内容が変わる印刷物のひとつです。
この名刺のレイアウトも、InDesignのデータ結合を使うことで、効率的に制作することができます。
データ結合の機能は、Excel等でつくられたデータベースとInDesign上のフォーマットを結合し、統一したレイアウトを制作していくため、情報をExcel等で管理することが多い名刺にはとても親和性の高い機能だと言えます。
データ結合の流し込み機能でナンバリング作業も容易に
結合するデータに連続した数字や記号などを使用することで、印刷物に連続したナンバー等をレイアウトすることも可能です。
イベントチケット等の連番が必要な印刷物などに対し、統一したデザインの一部分をInDesignのデータ結合による機能を使用することで、印刷機のナンバリング印刷や、オンデマンド印刷機のバリアルブル機能を使用など大袈裟な印刷システムを使うことなく、簡単にナンバリングをおこなうことが可能になります。
InDesignでデータ結合をする方法
InDesignのデータ結合①テキストと画像の準備
InDesignでデータ結合をする際は、あらかじめ流し込み用のテキストと画像の準備をしておく必要があります。
画像はデータ結合を紐づける際、データの名前で管理することになるので、わかりやすい名称にしおくとトラブルを防止することができます。
まずは準備した画像をひとつのフォルダにまとめておきます。
InDesignのデータ結合②Excelデータの作り方
次にExcelを使い、インデザインに流し込むためのデータを作成します。
Excelで新規データの表を開き、最上段にInDesignに読み込む項目を入力いていきます。写真や画像データの前には「@」を入れます。
次に項目の下に内容を入力していきます。例えば、今回はお店の紹介ページといった設定なので「店名」の項目の下には各お店の名前を入れていきます。
写真データの列にはあらかじめ準備した配置用画像のデータ名を入力します。
入力が終わったら「ファイル」→「名前をつけて保存」を選択し、ファイル形式「CSV(コンマ区切り)(.CSV)」で保存します。
この時の保存先は、画像が保存されているフォルダと同じにします。
InDesignのデータ結合③フォーマットの準備と割り付け
結合用の素材が準備できたら、InDesignでデータ結合用のページフォーマットの準備をします。
「ファイル」→「新規」から新しいドキュメントを作成し、ドキュメント内に基本となるフォーマットを作ります。
次に各段落に、任意の段落設定を行っておきます。
次に、用意したフォーマットに、Excelで作成した項目を割り当てていきます。
「ウィンド」→「ユーティリティ」→「データ結合」を選択します。
パネルメニューから「データソースを選択」を選びます。
Excelで作成したCSVデータを選択すると、パネルに各項目が表示されます。
それぞれの項目を、フォーマット上の任意の場所にドラッグ&ドロップし割り当てます。
フォーマット上に項目名が表示されたら、割り当て完了です。
パネルのプレビューにチェックを入れ正しく割り当てされているかを確認します。
InDesignのデータ結合④結合ドキュメントの作成と流し込み
フォーマットへの割り当てが完了したら、結合ドキュメントを作成します。
パネルの右上にある「結合ドキュメントの作成」ボタンをクリックします。
結合ドキュメント作成パネルで、レイアウトを確認しながら設定を行います。
1ページ内に複数のレコードを並べる「複数レコード」に切り替えます。
右下の「複数レコードレイアウトをプレビュー」にチェックを入れると、ページ全体のプレビューが確認できます。
パネルを「複数レコードレイアウト」に切り替え、マージンや配置方向、間隔などを設定しレイアウトを決定します。
「OK」をクリックすると、設定したレイアウトのページが別ファイルとして作成されます。
「ファイル」→「別名保存」を選択し任意の名前で新規保存します。
InDesignのデータ結合でエラーが起きてしまった場合
ここでは、代表的なエラーとその対処法について画像つきで解説いたします。
InDesignのデータ結合での改行対策
InDesignでのデータ結合用テキストデータを作成する際、データ内に改行が含まれることで、割り当てした通りの順番でレイアウトされないエラーが発生します。特にこうしたエラーの原因に多いのが長い文章内の改行です。
文章が長いこと自体は問題ではありませんが、改行が含まれると通常「,」によって区切られている順番がずれてしまいます。
そこで活用したいのが、改行部分に他の文字を配置しておき、レイアウト後に改行に置き換えるといった方法です。
まず改行部分に代わりの文字を配置します。(ここでは「=」を使用します)
前項で解説した通りにデータ結合を行います。
完成した結合ドキュメントの改行部分に「=」が配置されていることを確認します。
次にドキュメントが全て選択された状態で「編集」→「検索と置換」を選択します。
「正規表現」を選択し、検索文字列に「=」を入力します。
置換文字列の横にあるプルダウンメニュー「@」から「強制改行」を選択します。
「全てを置換」をクリックすると確認パネルが表示されます。
「OK」をクリックすると、ドキュメント内の「=」部分が改行されていることを確認できます。
データ結合で複数レコードが選択できないときはページ数を確認
他にInDesignでデータ結合を行う際によくあるエラーで、プルダウンメニューの「複数レコード」を選択できないといったものがあります。
InDesignでは、データ結合をおこなう際、ドキュメントのページ数が2ページ以上あると、複数レコード作成することができません。
こうしたエラーが発生したら、ページ数を確認し余計なページを削除することで「複数レコード」が選択できるようになります。
InDesignのデータ結合ではレイアウトの自動調整ができない
データ結合後、仕上がったページを確認すると、レイアウトが微妙にズレているといったことがあります。InDesignのデータ結合は自動組版で、スピーディーにページのレイアウトができるとても便利な機能ですが、テキストデータや画像をデータ通り配置するだけで、全角、半角の違いによる微妙なズレなど、感覚的な調整をしてくれるわけではありません。
最終的な仕上げは、ページを確認しながら調整する必要があります。
ただ、データ結合用の素材を準備する際に、画像のサイズを揃えたり、文字数をできるだけ同じくらいのボリュームにしたり、レイアウトがくずれにくいフォントを選んだりと、仕上がりをイメージし丁寧に素材を準備することで、機能をさらに便利に活用することができる様になります。
InDesignでデータ結合をしよう!
画像データをまとめたり、Excelでテキストを整理したりと、準備段階で面倒に感じることも多い、InDesignのデータ結合ですが、慣れてしまうとチラシやパンフレット、そして大量の名刺などのデータを効率的に作成できます。Illustratorなどを使用した手作業と比べ、魔法のように早くかつミスも減らすことができるとても優秀な機能です。
今回の記事を参考に、InDesignのデータ結合による自動組版機能を使いこなし、作業効率の向上を目指してみてください。