Photoshopを使って人物写真の肌の色を合わせる色調補正(レタッチ)の方法を紹介します。
デジタル写真では撮影と同じくらい重要なのがレタッチです。
特に人物写真では、肌の色は写真の印象を決める要素として、とても重要です。ここで紹介した以外にもいくつか方法がありますが、参考の一つとして覚えておくと便利です。
Photoshopでレタッチが必要な時は?
それではどんな時にレタッチが必要になるのか、下記に参考例として紹介します。
暗い写真になってしまった時
撮影時の露出が足りずに写真全体が暗くなってしまった時は、Photoshopで明るさを補正することができます。
あまりやりすぎるとレタッチではなくなってしまうので、あくまでも「補正」「修整」を意識して行うことが大事です。
色かぶりしてしまった時
撮影時のホワイトバランスの設定がうまくいかないと、特定の色に偏ってしまうことがあります。これを色かぶりといい、例としては青かぶりや赤かぶりなどがあります。
ホワイトバランスの設定は、肉眼で見て白いものがレンズを通しても白く写るように調整することが基本ですが、万が一失敗してしまった時はレタッチである程度補正することができます。
美肌に見せたい時
レタッチが多く使われるのは、人物写真の補正です。
特に顔のシミやソバカスを目立たなくしたり、肌を明るくし血行を良くしたりなど、様々な場面でレタッチが必要になります。
Photoshopで【カラーの適用】を使って肌の色を合わせる方法
Photoshopの機能「カラーの適用」を使って肌の色を合わせる方法を紹介します。
撮影の際、光源の違いやホワイトバランスが適切でない場合、色味の異なる写真になってしまうことがあります。そのような場合に簡単に色を合わせられるのが「カラーの適用」です。
ここでは下記の2枚の写真を例にして解説します。
写真B
Photoshopの【カラーの適用】とは
「カラーの適用」は、2枚の写真のうち色かぶり(特定の色味に偏ってしまうこと)してしまった写真をもう片方の写真の色味に合わせる方法です。
上記の例では写真Bの方を変更したいと思います。カラーの適用ダイアログを表示させるには、イメージ>色調補正>カラーの適用を選択します。
Photoshopの【カラーの適用】で肌の色を合わせる方法
それでは、実際に操作の手順を解説します。
①Photoshopで2枚の写真を開きます。⬇︎
②色味を調整したい方の写真を選択状態にします。⬇︎
③イメージ>色調補正>カラーの適用で「カラーの適用」ダイアログを開きます。⬇︎
④ソースのプルダウンメニューから、参考にしたい画像を選びます。この場合はAの画像を選択します。⬇︎
⑤OKをクリックすると適用されます。⬇︎
細かい調整などはできませんが、自動で適用されるので、手軽にできるレタッチ方法です。
Photoshopで【トーンカーブ】を使って肌の色を合わせる方法
Photoshopの機能「トーンカーブ」を使って肌の色を補正する方法を紹介します。「トーンカーブ」はPhotoshopの機能の中でも最も多くのことができる機能で、明るさ・コントラスト・色調までを細かく補正することができます。
トーンカーブで補正するには、下記の2通りの方法があります。
- 画像に直接、トーンカーブの効果を適用させる方法
Photoshopのメニューバー>イメージ>色調補正>トーンカーブを選択します。この方法は、写真に直接調整内容が適用されます。
- 上に調整用のレイヤーを置いて、そのレイヤーに効果を適用させることにより、間接的に画像の補正を行う方法
色調補正パネルで「トーンカーブ」を選択します。この方法は調整レイヤーを上に作成する方法で、元の画像は変更されません。必要な時にその効果をONOFFしたい場合や、元画像を変更したくない場合におすすめです。
Photoshopの機能トーンカーブの見方
トーンカーブのダイアログは下記のようになっています。
このダイアログにはたくさんの情報が詰まっていますので、徐々に覚えていきましょう。
⬆︎対角に伸びる直線がトーンカーブです。変化のない状態では図のように直線となっています。
初期設定では、背景に波形のような「ヒストグラム」と呼ばれるものも表示されています。ヒストグラムは画像内の明るさの分布を表しています。
今回は使いませんので、見やすいように表示のチェックを外しておきましょう。
Photoshopの機能トーンカーブの使い方
グラフの横軸の「入力」は補正前の値を、縦軸の「出力」は補正後の値を表しています。
また、横軸の右側が補正前の明るい部分を、左側が補正前の暗い部分を表しています。縦軸の場合も同様です。
トーンカーブの線上をクリックすると制御点が表示されます。この制御点を上下に動かすことにより、明るさ・コントラスト・色調を調整することができます。図を例にすると、トーンカーブを上に持ち上げれば、明るくなり、下に下げると暗くなります。
ここで覚えておきたいのが「RGB」という言葉です。
RGBは「色の三原色」と呼ばれ、それぞれR=RED(赤)、G=GREEN(緑)、B=BLUE(青)を表します。デジタル画像は、一つ一つのピクセルの集合体でできていますので、画像内の一つ一つのピクセルの中にRGBそれぞれの成分がどのくらいあるかを0〜255までの数値で表しています。
例えば、下記の色をRGBの数値で表すと⬇︎
R:51 G:153 B:51 となります。このように、デジタル画像の色には必ず数値が割り当てられています。
⬆︎左上にある「チャンネル」をクリックし、RGB合成チャンネルを選ぶと、R/G/B全てに対しての調整ができます。レッドチャンネルを選ぶと、レッド成分のみの調整ができます。B/Gに対しても、個別に調整することができます。
トーンカーブで人物の肌の明るさを補正する
トーンカーブを使用して人物写真の肌の明るさを補正します。この方法で肌を明るく(美肌に)見せることもできます。
トーンカーブの真ん中くらいをクリックし、上方向に持ち上げると写真全体が明るくなります。⬇︎
補正後
トーンカーブで人物のコントラストを補正する
トーンカーブの上部と下部の2点に制御点を打ち、S字型になるように動かします。⬇︎
補正後
明るい部分はさらに明るく、暗い部分はさらに暗くなり、明暗(コントラスト)の高い画像になります。(わかりやすいように強めにかけています)
トーンカーブで人物の肌の色調を補正する
トーンカーブで色味を調整する方法です。左上にあるチャンネルのプルダウンメニューから目的のチャンネルに変更します。
⬆︎RGBはレッド、グリーン、ブルーが合成されたチャンネルで、R/G/B全てを同じ数値だけ動かすので、それぞれの値の差は一定のまま保たれています。これをレッドのチャンネルにすると、レッド成分のみ、変更が可能です。
レッドの成分を増やした場合⬇︎
補正後(赤みが増しています)
逆に、トーンカーブを下に下げると赤の成分は少なくなり、レッドの補色のグリーンに近くなります。チャンネルがグリーン、ブルーの場合も同じように変更することができます。
肌の色のみを補正する場合
上記の方法は、写真全体に「明るさ」や「コントラスト」の効果が適用されます。
肌の部分のみに適用したい場合は、肌の部分を選択ツールで選択し、選択範囲を設定する必要があります。その後、下記の2つの方法で調整したい部分にのみ効果を適用します。
- 調整レイヤーを作成し、選択範囲部分にレイヤーマスクをかけ、効果を適用する
- 変更したい画像の上にレイヤーを複製しておき、複製したレイヤー上で選択範囲を作成し、効果を適用する
この方法は元画像を変更しなくて良いのでおすすめです。
Photoshopで【特定色域の選択】を使って色調補正する方法
Photoshopの機能「特定色域の選択」を使って色調補正を行う方法を紹介します。「特定色域の選択」は、特定の色にのみ効果を適用させることできるので、効果を適用したい箇所にわざわざ選択範囲を作らなくても色調補正が可能です。
例えば、写真の中の赤い部分に対して色を変えたい、などの場合は、「特定色域の選択」ダイアログで赤を選ぶと他の色には影響を与えず、赤い部分にのみ効果が適用されます。
「特定色域の選択」のダイアログを開くには、イメージ>色調補正>特定色域の選択から開くことができます。⬇︎
特定色域の選択の補正は、RGB合成チャンネルの表示中のみ使用可能です。
「特定色域の選択」で色調を補正する方法:9種類からカラーを選択
「特定色域の選択」では、下記の9種類のカラーコンポーネントから調整したい色を選択できます。
①レッド②グリーン③ブルー④シアン⑤マゼンタ⑥イエロー⑦ブラック⑧中間色⑨白色系
上記の色は、色相環が元になっています。
「特定色域の選択」で赤を選択すると、赤の色が濃い箇所に最も効果が強く適用され、両隣のグラデーションになっている箇所は緩やかに効果が適用されます。
これを実際の写真に置き換え、調整したい写真の中の赤が濃い部分に最も効果が現れます。
特定色域の選択」で色かぶりした人物写真を補正(レタッチ)する
ホワイトバランスが不適切な場合、撮影した写真が特定の色味に偏ってしまうことがあります。これを色かぶりといい、赤に偏った場合は赤かぶり、青に偏った場合は青かぶりといいます。
下記の写真を「特定色域の選択」を使って補正してみましょう。
カラーをレッド系にして、「絶対値」を選択します。⬆︎
シアンのスライダーを右に動かすと、写真に含まれる赤の成分の箇所にシアンの数値が追加されます。
補正後
シアンだけではなく他の色のスライダーも動かしながら、最適な色味に近づけるように工夫してみてください。
また、元の画像を変更したくない場合は、調整したい写真のレイヤーを選択している状態で、色調補正パネルから「特定色域の選択」を選びます。⬇︎
調整したい写真のレイヤーの上に、特定色域の選択のレイヤーが作られます。
⬆︎目のアイコンをクリックすることにより、効果のONOFFが設定できます。元の画像を変更しなくて良いのでおすすめです。
Photoshopで簡単に肌の色を合わせられる!
Photoshopで肌の色を合わせる方法を紹介しました。
Photoshopには多くの機能があり、紹介した以外にもさまざまな方法で色調補正が可能です。それらを相互に組み合わせることによって繊細なレタッチが可能になります。
人物写真の肌の色は写真の印象を決める重要な要素ですので、ぜひ目的にあった方法を見つけて、試してみてください。