多くの動画編集ソフトの中でも、プロからビギナーまで幅広いユーザー層に支持される、Adobe(アドビ)社のPremiere Pro(プレミアプロ)。
ですが、いざ触ってみようと思っても、機能が多くて何から手をつけて良いかわからない、なんてことはありませんか?
今回は、動画編集に必要な最低限の機能を使って、実際に映像を作るまでの流れを紹介しています!まったくの初心者でも大丈夫!Premiere Proを使った初めての動画編集に挑戦してみましょう。
目次
- Adobe Premiere Proでの動画編集の流れ
- Adobe Premiere Proの編集画面の見方
- Adobe Premiere Proの使い方|1. 準備する
- Adobe Premiere Proの使い方|2. 動画をカットしてつなげる
- Adobe Premiere Proの使い方|3. テロップをいれる
- Adobe Premiere Proの使い方|4. BGMや効果音を入れる
- Adobe Premiere Proの使い方|5. エフェクトをつける
- Adobe Premiere Proの使い方|6. 動画を書き出す
- 【番外編】これだけは知っておきたい!編集前の動画の基礎知識
- Adobe Premiere Proの使い方を覚えよう!
Adobe Premiere Proでの動画編集の流れ
Premiere Proでの編集の流れをポイントで紹介します。④〜⑥は作成する動画によっては順番が前後したり、必要がない場合もあります。
動画編集の流れ|1. 素材をまとめる
まずは使用する素材(動画クリップ、画像、音楽)をフォルダにまとめましょう。
動画編集の流れ|2. プロジェクトの作成
新規プロジェクトの作成、素材のインポート、新規シーケンスの作成を行います。
ここまでの準備が完了したら、編集作業に取りかかれます!
動画編集の流れ|3. カット編集
タイムライン上に動画を配置し、不要な部分をカット、または必要に応じてつなげます。
撮影したクリップ(ショット)を切断(カット)し、必要に応じて接続する、このような編集をカット編集といいます。
動画編集の流れ|4. 字幕(テロップ)を入れる
編集した動画に字幕やテロップを挿入します。エフェクトなどを利用して、動きのあるテロップをつけることもできます。
動画編集の流れ|5. BGM・効果音を入れる
使用したいBGMや効果音をインポートして挿入します。
Premiere Proのパッケージ内にはデフォルトで使用できる曲がいくつか含まれているので、そちらを使用することもできます。
動画編集の流れ|6. エフェクト効果をつける
ビデオエフェクトやプラグインなどを使用し、動画にエフェクト効果をつけます。また、必要に応じてオーディオのエフェクトをつける場合もあります。
動画編集の流れ|7. 編集した動画を書き出す
目的に合った書き出し設定で動画を書き出します。最終的にどんな場面で使用する動画なのかで、設定が変わってきます。
Adobe Premiere Proの編集画面の見方
Premiere Proの編集画面|操作パネル
Adobe Premiere Proの編集画面は、操作パネルごとに並んだレイアウトになっており、このスペース全体をワークスペースといいます。
- プロジェクトパネル:プロジェクトを構成する全ての素材(撮影素材・BGM・効果音・画像など)が一覧で表示されるパネルです。
- ソースモニター:素材単体をダブルクリックすると、ソースモニターに表示されます。素材単体を確認する場合や、クリップに対してカットする位置を決める場合などに利用されます。
- タイムラインパネル:動画を編集するメインパネルです。ここにクリップを配置し、時間軸に沿って編集します。
- プログラムモニターパネル:タイムラインパネルに配置したクリップを再生させると、このモニターに表示されます。動画をカットして繋いだり、エフェクトの効果を確認したりするときにこのモニターで結果を確認しながら編集を進めていきます。
- ツールパネル:カットツール、選択ツール、リップルツールなど、各種編集ツールが表示されています。
パネルはタブを展開することにより、後ろに隠れているパネルを表示することができます。ソースモニターパネルの後ろにはエフェクトコントロールパネル等が隠れています。
- エフェクトコントロールパネル: タイムラインに配置したクリップにエフェクトをかけると、このパネルでエフェクトのパラメータ(値)を調節することができます。
- エフェクトパネル:ビデオエフェクトやオーディオエフェクトなど、エフェクト一覧が表示されます。
- オーディオメーターパネル:クリップを再生した時の音声の値がメーターで表示されます。
このほか、音声調節が必要であればオーディオトラックミキサーパネル、テロップなどの挿入をおこなう場合はエッセンシャルグラフィックパネルなどを必要に応じて表示させて編集をおこないます。
Premiere Proの編集画面|作業に適したワークスペースを選ぶ
ワークスペースは、編集、音声、エフェクトなど、作業目的によって適したパネル配置が選択でき、効率的な編集ができるようになっています。
ワークスペースの種類は、メニューバーの「ウインドウ/ワークスペース」、もしくは右上のアイコンから表示することができます。
ひとまずは「編集」をクリックして、編集に適したワークスペースを表示しておきましょう。
さらに追加して別のパネルを表示させたい場合は、ウインドウメニューをクリックして、パネル一覧から選ぶことができます。
パネルは必要に応じて表示・非表示が可能です。使いやすいよう、パネル位置を変更することもできます。
カスタマイズしたワークスペースは保存しておくと、次から自分好みのレイアウトで作業を進めることができます。
Adobe Premiere Proの使い方|1. 準備する
ここからは、実際に動画編集の流れに沿って解説していきます。ショートカットはMacの場合で解説しますね。
Premiere Proの使い方|1-1. 素材管理
Premiere Proに限らず、他の編集ソフトを使う時にも重要なのが素材の管理です。
まずは一つのフォルダを作り、名前を任意のプロジェクト名にします。セミナーの動画ならセミナー_◯◯と日付を入れておくと後で管理しやすくなるのでおすすめです。
このフォルダの中に編集したい動画素材や静止画、音声などをさらにフォルダに分けて入れておきます。これから動画編集をスムーズにおこなうための準備です。
Premiere Proの使い方|1-2. 新規プロジェクトの作成
Premiere Proを立ち上げるとはじめにこの画面が開きます。「新規プロジェクト」を選択し、プロジェクトの保存先を設定します。
すでに作業途中のプロジェクトがある場合は、「プロジェクトを開く」をクリックして該当のプロジェクトを開きましょう。
※プロジェクトの保存先
プロジェクトは素材をまとめたフォルダ付近に保存するようにしましょう。
離れた場所にプロジェクトを保存してしまうと、次にプロジェクトを開いたときに素材を参照するための時間がかかります。
また、リンク切れや素材自体消えてしまうなどの原因になってしまいますので、ひとまとまりで管理するようにしましょう。慣れてきたら自分なりのルールでフォルダ管理をすることをおすすめします。
編集する素材を全て選び「作成」をクリックします。
編集画面が開いたら、プロジェクトパネルに読み込んだ素材が一覧で表示されます。素材がわかりやすいよう「ビン」で整理しておくと良いでしょう。
Premiere Proの使い方|1-3. 新規シーケンスの作成
編集するためにはタイムライン上に素材(クリップ)を並べなくてはいけません。そのために「シーケンス」というものを作成します。シーケンスは、ビデオトラックとオーディオトラックで構成されています。
「ファイル」>「新規」>「シーケンス」
シーケンス設定は多くの種類がありますが、一般的には「AVCHD 1080p30」や「Digital SLR 1080p=Digital Single Lens Reflex camera(一眼レフで撮影した素材)」を使用することが多いです。
「OK」をクリックします。
Premiere Proの使い方|1-4. クリップの配置
タイムラインパネルにシーケンスが作成されます。ここにクリップをドラッグ&ドロップして配置します。
ビデオはV1トラックに、オーディオはA1トラックに配置されます。
シーケンスの設定ってなんだかよくわからない!という方は、直接タイムラインパネルにクリップをドラッグ&ドロップしましょう。シーケンス作成も含めて自動的にクリップを配置させる方法です。自動的にクリップが配置され、クリップに適したシーケンスが作成されます。
ただし、さまざまな設定の動画が混在している場合や、最終的に書き出す動画の設定に指定がある場合は注意が必要です。
混在する映像素材の組み合わせ方法はAdobe公式の記事を参考にしてみてください。
https://helpx.adobe.com/jp/premiere-pro/how-to/merge-mixed-footage.html
Adobe Premiere Proの使い方|2. 動画をカットしてつなげる
タイムラインが作成できたら編集編集ツールを使用して動画を編集していきましょう。
Adobe Premiere Proの使い方|2-1. 各種編集ツールの紹介
よく使うものとして、「選択ツール」「リップルツール」「レーザーツール」「スリップツール」「ペンツール」などがあり、
テロップや図形を作成する場合は「長方形ツール」や「文字ツール」を使います。
Premiere Proの使い方|2-2. ソースモニターで動画をカット
動画をカットする方法は2通りあります。一つはソースパネル上で個別のクリップをカットし、必要な箇所のみタイムラインに配置する方法です。
- プロジェクトパネル内のクリップをダブルクリックしてソースモニターで開く。
- 再生ヘッドを動かして、インポイントとアウトポイントを設定する。(インとアウトの間のクリップを使うという意味)
- ソースモニター上の画面をつかんでタイムラインパネルにドラッグ&ドロップする。または「インサート」をクリック。
Premiere Proの使い方|2-3. タイムライン上で動画をカット
もう一つは、タイムラインにクリップを並べたあと、再生ヘッドを動かしながらカットしていく方法です。
- タイムラインパネルに素材をドラッグ&ドロップで配置。
- レーザーツールでカット、Delateキーで削除。またはクリップの端にマウスポインターを持っていき、赤い矢印がでたらドラッグする。
- クリップとクリップの空いてしまった部分はDelateキーで削除。
「スリップツール」を使用するとクリップの尺を変えずにイン点とアウト点をずらすことができます。
Premiere Proの使い方|2-4. クリップをつなげる
カットして空いてしまった空間部分を選択ツールでクリックしてDelete。
もしくはカットもリップル(クリップを前に詰める)も同時に行いたいという時は、リップルツールでクリップをドラッグすると任意でカット位置をずらし、かつ、前のクリップとの隙間を詰めてくれます。
離れたクリップ同士は選択ツールで移動させて任意の場所に持っていくことができます。
また、一段上のトラックに配置すると上のクリップが優勢となります。PhotoshopやIllustratorなど他のAdobe製品を使用したことがある方は、レイヤー構造を思い出してみてください。
Adobe Premiere Proの使い方|3. テロップをいれる
テロップを挿入するには「エッセンシャルグラフィックパネル」「文字ツール」を使用します。
Premiere Proの使い方|3-1. 文字ツールでテロップを挿入
- ワークスペースを「グラフィック」に変更します。
- 文字を入れたいクリップをプログラムモニターに表示(再生ヘッドをクリップの位置に)
- 「文字ツール」でプログラムモニター内をクリック、文字を入力
Premiere Proの使い方|3-2. 文字の編集
文字を編集するには「エッセンシャルグラフィックパネル」を使用します。
位置の調整やフォント、サイズなどを調節します。
※「参照」はテロップのテンプレートを見ることができます。
気に入ったテンプレートがあれば使ってみてください。
Adobe Premiere Proの使い方|4. BGMや効果音を入れる
Premiere Proの使い方|4-1. BGMや効果音をタイムラインに入れる
プロジェクトパネル内から音声素材をオーディオトラックにドラッグ&ドロップします。
Premiere Proの使い方|4-1. 音量の調整
音が大きい場合はレベルの調整を行います。ひとつのトラック全体の音を調整したい場合は「オーディオトラックミキサーパネル」で調整します。素材単体で調整する場合は「エフェクトコントロールパネル」で調整します。
また、「オーディオゲイン」>「最大ピークをノーマライズ」を行うと最大音量を均一化することができます。
Adobe Premiere Proの使い方|5. エフェクトをつける
エフェクトは「エフェクトパネル」を使用します。
Premiere Proの使い方|5-1. ビデオにトランジションをつける
トランジションとは、クリップとクリップの切り替えの際につけるエフェクトです。
「ビデオトランジション」から、「クロスディゾルブ」を選択し、エフェクトをかけたいクリップとクリップの間にドラッグ&ドロップします。
ショートカットキーは「⌘+D」です。
Premiere Proの使い方|5-2. オーディオトランジションをつける
「オーディオトランジション」から「コンスタントパワー」を選び、BGMの終わりにドラッグ&ドロップします。
ショートカットキーは「Shift+⌘+D」です。
Adobe Premiere Proの使い方|6. 動画を書き出す
編集した動画を書き出します。
Premiere Proの使い方|6-1. 動画を書き出す方法
書き出したいシーケンスが表示されている状態で、ショートカット「⌘+M」で書き出し設定の画面になります。
Premiere Proの使い方|6-2. 書き出し設定
- 名前:書き出し後の動画の最終的な名前を設定します。
- 保存先:これから書き出しす動画の保存先を設定します。
- プリセット:一覧からSNS用やYouTube用などに最適な設定を選ぶことができます。とくに指定された設定がなければデフォルトのままでも大丈夫です。
- フォーマット:プリセットの設定によって変わります。デフォルトだとH.264という設定になります。
- 詳細設定:書き出す動画に対してこまかな設定ができます。例えば、ファイルサイズを小さくしたいときはビットレートの数値やエンコード方法を変更したりできます。
- シーケンス:書き出し前のシーケンスの設定
- プレビュー:①〜⑤までの設定の結果、最終的に書き出される動画の設定
- 書き出し:書き出しをクリックして書き出します。
【番外編】これだけは知っておきたい!編集前の動画の基礎知識
動画編集を始める前に、知っておきたい基礎知識を簡単に紹介します。
初心者向け動画の基礎|フレームレートって?
動画は1枚の静止画が何枚もつながってできています。1枚1枚の画を何枚もつなげることにより、時間軸が生まれ、動く画=動画になります。この1枚1枚の静止画のことを動画の単位でフレームと呼び、1秒間あたりに表示されるフレームの数をフレームレートといいます。単位はfps(frame per second)で表します。
フレームレートは動画の種類や目的によって変わってきますが、一般的な動画編集で使用するフレームレートはドロップフレームと呼ばれる29.97fpsとなります。
初心者向け動画の基礎|アスペクト比って?
1枚のフレームの縦横比のことをいいます。現在は「16:9」が主流となっています。
初心者向け動画の基礎|画面解像度って?
SD、ハイビジョン、フルハイビジョン、4K、8Kなど、さまざまなサイズがありますが、一般的には、撮影は4Kやフルハイビジョンで撮影し、編集後の動画はフルハイビジョンで書き出す、ということが多いです。
動画の場合は、横ピクセル数×縦ピクセル数で表します。
※映像規格の違いにより、呼び方と数値に多少の違いがある場合があります。
初心者向け動画の基礎|「1080p」の「p」って何のこと?
1080pの「p」は「プログレッシブ」という意味です。これは画像をテレビやディスプレイなどの映像出力機器に表示する走査方式(画像の送り方)のことです。
「プログレッシブ」の他に、「インターレース」があります。現在「インターレース」はテレビ以外ではほとんど採用されていません。一般的な動画編集は「プログレッシブ」で大丈夫です。
「プログレッシブ」と「インターレース」の違いについてはこちらに詳しく紹介されています。
https://videolab.jp/interlace-progressive/
Adobe Premiere Proの使い方を覚えよう!
Adobe Premiere Proでの基本的な編集方法を流れに沿って紹介しました。
Premiere Proは機能も多く、クリップをカットするにも方法は一つではありません。ここで紹介した方法以外にもさまざまな方法があります。編集する動画によっては必要のないパートもあるかもしれませんので、目的にあった方法で編集してみてください。
たくさん触ることで慣れていくと思いますので、ぜひこのページをブックマークして、何度も見返しながら、どんどん編集して覚えていってください。