映像編集をしていると、映像同士の合成や、一部だけにエフェクトをかける表現をしたいと思うことは多いですよね。
adobeのPremiere Proに搭載されているマスク機能を使うと、人物など映像の一部のみ簡単に映像を切り抜きして合成したり、エフェクトを反映する範囲を指定したりすることができます。
プレミアプロのマスクを使いこなして様々な映像表現ができるようになりましょう。
Premiere Proのマスクで切り抜く基本操作
①不透明度のマスクをクリック
最初に、エフェクトコントロールパネル内の「不透明度」内にあるマスクをクリックして選択します。マスクには楕円形マスク、長方形マスク、ペンマスクの3種類があります。切り抜きたい形状に合わせて、マスクの形状を選択しましょう。
②切り抜きたい範囲を調整
楕円形マスクや長方形マスクを選択すると、モニター上に自動で楕円形や長方形の選択範囲が表示されます。この選択範囲がマスクになります。この選択範囲上にあるポイントをドラッグして、マスクの形状を調整しましょう。
マスクを作成することで、エフェクトコントロールパネルにはマスクの設定項目が表示されます。
ペンマスクを選択すると、ベジエ線でマスクを作れるので、選択範囲を自由に切り取ることができます。楕円や長方形ではなく、人物の輪郭に合わせて細かくマスクしたいときなどに便利です。
③Premiere Proでマスクを編集する
最後に、エフェクトコントロールパネル内のマスク編集項目を使用して、詳細な切り取り方を調整します。
マスク境界のぼかし具合や、マスクの不透明度、マスクの拡張(拡大縮小)を調整できます。
「反転」にチェックを入れると、マスク範囲を反転させることができます。
Premiere Proのマスクで切り抜いた映像の使い方
Premiere Proでマスク映像とベース映像を重ねて合成
マスクで切り抜きした映像と別の映像や画像をPremiere Pro上で重ねることで、合成映像を作ることができます。
V1にベースとなる背景映像、V2にマスクで切り抜いた映像を置きます。すると、背景映像とマスクで切り抜きした映像を合成した動画ができます。
マスクアニメーションで合成【マスクパス(位置、スケール、回転)】
Premiere Proでマスクパスを使ってキーフレームを打つと、マスクが移動したり、変形したり、回転したりといったアニメーションを付けることができます。
次の合成映像は、ペンギンをマスクで切り抜いて合成しています。切り抜き元の映像にて、ペンギンの移動に合わせてマスクを移動させています。
マスクアニメーションで合成【マスク境界のぼかし】
Premiere Proでマスク境界のぼかしを使ってキーフレームを打つと、切り抜き境界のぼかし具合が徐々に変わるアニメーションを付けることができます。
マスクアニメーションで合成【マスクの不透明度】
Premiere Proでマスクの不透明度を使ってキーフレームを打つと、切り抜き範囲の不透明度が徐々に変わり、徐々に浮かび上がったり消えていったりするアニメーションを付けることができます。
マスクアニメーションで合成【マスクの拡張】
Premiere Proでマスクの拡張を使ってキーフレームを打つと、切り抜き範囲が拡大縮小するアニメーションを付けることができます。
切り抜き以外でも使える!Premiere Proのマスクの便利テクニック
動画の一部(顔や人物など)にモザイク
Premiere Proでモザイクのエフェクトにマスクを使用することで、次の動画のように、顔や人物など一部のみにモザイクをかけることができます。
①エフェクトパネルから「モザイク」を選択
まずは、エフェクトパネルから「モザイク」を選択します。見当たらない場合はエフェクトパネル上で検索すると表示されます。
②モザイクのマスクを選択し、モザイク箇所を調整
エフェクトコントロールパネル内に表示されるモザイクのマスクを選択します。するとモニターにマスクの範囲が表示されるので、顔や人物などモザイクをかけたい部分にモザイクがかかるようにマスクの範囲を調整します。
③マスクを自動トラックする
前章で紹介したとおり、キーフレームを打つことでマスクに動きを付けることができますが、常に動いている顔や体などをマスクしたい場合、フレームごとにキーフレームを打っていくのはとても手間がかかります。
Premiere Proでは、手動でキーフレームを打たなくても、自動トラック機能を使うことで対象物に合わせてマスクを自動で動かすことができます。
「選択したマスクを順方向にトラック」をクリックし、マスクが自動トラックするように設定します。
対象の動きが解析されるため、数秒~数分ほど時間がかかります。自動解析が終わると、対象に合わせてマスクが移動、回転、拡大縮小するように自動でキーフレームが打たれます。
自動トラック機能はとても便利ですが、対象の動きが激しい場合などには完全にトラックすることはできません。自動解析後は、対象の動きをマスクがトラックできているか、プレビューでしっかり確認しましょう。
以上の手順で、動画の一部のみにモザイクをかける映像ができます。
動画の一部(顔や人物など)にカラーエフェクト
Premiere Proでカラーエフェクトにマスクを使用することで、カラーエフェクトを人物など映像の一部のみに反映させることができます。次の映像は、映像の一部のみにカラーエフェクトの露光量(明るさ)を反映させた例です。
①エフェクトパネルから「lumetri カラー」を選択
まず、エフェクトパネルから「lumetri カラー」を選択します。見当たらない場合はエフェクトパネル上で検索すると表示されます。
②lumetri カラーのマスクを選択し、マスク範囲を調整
次に、エフェクトコントロールパネルにてLumetriカラーのマスクを選択し、モニター上でマスク範囲を調整します。
③カラーエフェクトを編集
マスクで囲んだ範囲以外のみカラーエフェクトを反映させたいので、「マスクの反転」にチェックを入れます。
カラーエフェクトにて、「露光量の調整」を操作し、対象以外が暗くなるように設定します。
④マスクが対象に合わせて変形、移動するようキーフレームを打つ
最後に、マスクが対象に合わせて変形・移動するように設定します。
先ほどはPremiere Proの自動トラック機能でマスクが自動で動くように設定しましたが、対象がダイナミックに動く場合など、自動でトラックできないこともよくあります。
自動トラックで上手くトラックできないときは、手動でキーフレームを打っていきましょう。
以上の手順で、動画の一部のみにカラーエフェクトをかける映像ができます。
マスクを使ってテキストアニメーションを表現
Premiere Proでテキストのエフェクトでマスクを使用することで、マスク範囲内のみでテキストアニメーションを表示させる表現ができます。
①ツールバーの文字ツールを選択し、文字を入力
最初にテキストを入力するため、ツールバー内の「T」ボタン(文字ツール)を選択します。モニター内のテキスト表示したい箇所をクリックし、テキストを入力します。
文字の大きさや色、フォントなどは、エッセンシャルグラフィックスパネルで編集できます。
②テキストのマスクを選択し、マスク範囲を調整
エフェクトコントロールパネル内にてテキストのマスクを選択します。テキストアニメーションを表示させたい箇所にマスクをして、モニター上で範囲を調整しましょう。
③テキストのキーフレームを打ち、アニメーションを付ける
最後に、テキストアニメーションを付けるために、テキストの位置が移動するようにキーフレームを打ちます。
以上の手順で、マスク範囲のみテキストアニメーションが表示される映像ができます。
他にも様々なエフェクトでマスクを活用可能(クロップなど)
例えばクロップは縦と横の一直線で切り取ることができる機能ですが、Premiere Proでクロップのマスク効果を使うと、マスク範囲のみクロップを適用させて切り取ることができるので、自由な形でクロップを適用できるようになります。次の映像ではマスクを活用して、斜めに切り取るクロップ処理をしています。
他にもブラーやトランスフォームなど、動画編集でよく使うエフェクトでもマスクを活用できるので試してみてください。
Premiere Proのマスクで切り抜きをしてみよう!
Premiere Proのマスクで映像の一部を切り抜きする基本操作から、切り抜いた映像を使った合成のパターン、さらに切り抜き以外のエフェクトでマスクを使う方法を詳しく解説しました。
Premiere Proのマスクを使うと人物など映像の一部のみを簡単に切り抜き、合成することができます。さらに、各種エフェクトでもマスク機能を使うことで様々な表現が可能になります。今回は、よく使用するエフェクトに絞り、マスクを使った3つの活用例を紹介しました。
・映像の一部にモザイクをかける
・映像の一部にカラーエフェクトをかける
・マスクを使ってテキストアニメーションを表現する
他にもクロップやブラー、トランスフォームなど、動画編集でよく使うエフェクトでマスクを使うことで、様々な表現が可能になります。エフェクトを使う際には、マスクを活用した表現を試してみてください。
プレミアプロのマスクは基本的で簡単な機能ですが、使いこなせるようになると映像表現の幅がぐっと広がりますので、この機会にしっかりマスターしましょう!