“テザー撮影”という言葉をご存知でしょうか。特に、広告などの撮影の経験がある方には聞いたことがある言葉かもしれません。テザー撮影は、たくさんの枚数を撮影するのにとても便利な機能のひとつです。そんなテザー撮影、実はLightroomで簡単に行うことができます。
テザー撮影とは?
まずはじめに、テザー撮影とはどういうものかを詳しく解説していきます。テザー撮影という言葉には馴染みがなくても、「リモート撮影」や「連結撮影」と聞けば、どんなものなのか想像しやすいのではないでしょうか。
テザー撮影の特徴|テザー撮影とは?
テザー撮影とは、写真撮影のデータをリアルタイムでパソコンやタブレットなどのデバイスに反映できる機能のことを指します。カメラやデバイスの種類によって接続方法が異なり、ワイヤレスやケーブルで繋ぐことができます。
撮った写真を確認するときに、「カメラのモニターが小さいため見づらいな」と思った経験は多くの人にあるのではないでしょうか。
テザー撮影を使うと撮った写真をその場ですぐに大きい画面で確認できるので、大人数が確認する必要がある広告写真やポートレート写真に適した撮影方法です。
テザー撮影を使うと、デバイス側でシャッターを押すことも可能です。カメラを三脚に立てておくだけで、いちいちカメラに近寄らなくても撮影ができます。
捕らえた構図を逃したくない場合も、アシスタントにデバイスでシャッターを切ってもらうとカメラから手を離す必要がありません。
また、テザー撮影は撮った写真が自動的にデバイスに保存されるのも特徴です。
膨大な撮影データを、後からパソコンに保存するのは面倒ですよね。テザー撮影を使うと自動的に写真が転送されるので、そのようは手間も不要です。
テザー撮影のメリット|テザー撮影とは?
撮影した写真を大きな画面で表示できるテザー撮影。商業撮影の現場で使うと、クライアント・ディレクター・デザイナーなどすべての人が一度に確認できるため、撮影をスムーズに進めることができます。
大きい画面で確認するため、ピントや商品のシワ・モデルの表情など細かい部分をリアルタイムで確認でき、リスクヘッジにもつながります。
さらに、カメラがどこにあっても撮影写真を確認することができるのもテザー撮影の魅力です。
例えば、高い場所に三脚で設定されたカメラのモニターを覗くことは大変です。テザー撮影を使うと、そんなカメラアングルの写真も別場所ですぐに見ることができます。確認だけでなく、カメラをどこにおいてもシャッターを切れるのも魅力のひとつだと言えます。
テザー撮影のデメリット|テザー撮影とは?
特に商業撮影に便利なテザー撮影ですが、いくつかのデメリットもあります。
一つ目は、写真の転送に時間がかかることです。
リアルタイムで写真の確認ができるといっても、カメラからデバイスに写真が転送されるのに数秒の時間を要します。1枚に数秒かかるので、枚数が多ければ多いほどトータルの撮影時間が長くなってしまいます。連写との相性も悪いのがテザー撮影の特徴です。
二つ目は、有線接続の場合は移動範囲が制限されるということ。
カメラとデバイスを繋ぐUSBケーブルはもちろん長さが決まっており、動き回る撮影には向いていません。移動が多いロケ撮影にも、テザー撮影は不向きだと言えます。
三つ目は、無線の場合は途中で切断してしまう可能性があるということです。
何度も切断してしまうと撮影がスムーズに進まないほか、データがしっかり転送されていない恐れもありトラブルに繋がるかもしれません。
テザー撮影にはアプリやフリーソフトが必要|テザー撮影とは?
テザー撮影をするには、カメラ・デバイスの他にアプリケーションやフリーソフトが必要となります。中には、カメラメーカーがオリジナルのソフトを提供している場合もあります。
テザーのスピードや画像処理のクオリティ、金額や使いやすさなど、どのソフトを選ぶべきかの判断材料はさまざまです。自分の撮影スタイルにあったソフトを選ぶことをおすすめします。
Lightroomでテザー撮影を設定・撮影開始する方法
写真の現像・編集・管理ができるAdobeのアプリケーションであるLightroomは、テザー撮影にも活用することができるソフトのひとつです。
テザー撮影を行うには、前もってLightroomで設定をしておく必要があります。その設定・撮影方法は以下の通り。
それぞれ詳しく解説していくので、テザー撮影を始めてみたいとお考えの方はぜひ参考にしてください。
Lightroomのテザー撮影方法①|USBケーブルを用意する
カメラの機種によっては無線でのテザー撮影も可能ですが、環境によっては接続が切れやすい場合もあります。
そのような万が一の場合に備えて、USBケーブルを用意しておくと安心です。カメラに付属されている場合もありますが、できるだけ可動域が広くなるように長めのケーブルがあると良いでしょう。
USBケーブルが抜けないようにするには、パーマセルテープなどで接続ポート部分を固定するのがおすすめです。
長いケーブルが足に絡んで抜けてしまう可能性もあるので、なるべく引っかからないようにケーブルを床や壁に這わせて固定するのも良いでしょう。
Lightroomのテザー撮影方法②|Lightroomを設定する
テザー撮影をはじめるには、パソコンではなくLightroomの初期設定をする必要があります。
カメラとパソコンを接続した後、Lightroomを起動します。上部のメニューバーから[ファイル]→[テザー撮影]をクリックすると、「テザー撮影の設定」のパネルが開きます。
セッション名は撮影全体の名前、名前は写真データの名前、保存先は写真データを保存する場所のことです。他にも細かく設定をすることができるので、データ管理が非常に便利です。
Lightroomのテザー撮影方法③|デバイスでカメラを操作する
Lightroomでの設定が終わると、Lightroomでカメラの操作ができるようになります。
カメラと同じように、Lightroomからシャッタースピード、絞り、ISO、ホワイトバランスの設定が可能です。
右の丸いボタンを押すと、デバイス上でシャッターを切ることもできます。これらのボタンは移動させることもできるので、撮影の邪魔にならない場所に置いてください。
Lightroomのテザー撮影方法④|撮影をはじめる
カメラとLightroomの接続が終わったら、あとは普段通り撮影をはじめていきましょう。カメラでシャッターを切るのはもちろん、Lightroom上でもクリックするだけでシャッターを切ることができます。
撮った写真はパソコンなどのデバイスにすぐに反映されます。その場で加工することができるので、レタッチ後のイメージをすぐに確認するのも可能です。
Lightroomでテザー撮影を行う際の注意点
テザー撮影ができるカメラが限られる
Lightroomでのテザー撮影は、どのカメラも対応しているわけではありません。一部のカメラでは対応していない場合もあるので、テザー撮影を検討中の方は前もって確認しておくと良いでしょう。
CanonとNikon以外のカメラは各メーカーに問い合わせる必要があるので、注意が必要です。
メモリーカードを入れなくても撮影ができてしまう
Lightroomに関わらず、テザー撮影をする場合はカメラの設定で「メモリーカードなしレリーズ」を選択することができます。「メモリーカードなしレリーズ」とは、許可をするとメモリーカードがなくても撮影できる機能のことです。
テザー撮影の際はメモリーカードを入れなくても、データがデバイスに転送されるため「メモリーカードなしレリーズ」を許可していても問題はありません。むしろメモリーカードがない方が転送が早い場合もあります。
しかし、テザー撮影以外では写真はどこにも保存されません。
普通の撮影も組み合わせたり、万が一ケーブルが抜けたときのことを考えたりするとリスクが高いため、メモリーカードなしの撮影は避けた方が良いでしょう。
別のデバイスで編集する場合は編集情報も移行する
撮影で使うデバイスと、編集で使うデバイスが異なるという方もいるのではないでしょうか。
例えば、撮影はノートパソコンで行って最終の編集はデスクトップパソコンで行う場合、写真データを移行する際に編集情報も併せて移行させる必要があります。
ノートパソコンで編集をしていなければ問題はありませんが、編集をしているのに上記の操作を行わなければ、元画像のみが移行されてしまいます。
やり方は、Lightroomで編集情報を書き出すだけです。上部のメニューバーから[メタデータ]をクリックして、「メタデータをファイルに保存」を選択すると、写真データと同じ名前のXMPファイルが作られます。
そのXMPファイルと写真データを編集するパソコンのLightroomに読み込ませると、編集データがそのまま引き継がれます。この操作をすることで、撮影現場で少し編集をして帰宅後本格的に編集をするということも可能です。
Lightroomでテザー撮影をしよう!
大きな画面で写真が確認できたり、リモートでシャッターが切れたりと特に広告撮影では有効活用できるテザー撮影。接続の切れやすさやケーブルの抜け、転送の長さなどを我慢すれば、難しい撮影を可能にし撮影をスムーズにできる便利な機能です。
そんなテザー撮影は、Adobeソフトの「ライトルーム」を使うと、3ステップの操作だけで簡単に行うことができます。3つの注意点に気をつけて、テザー撮影で効率の良い撮影を行いましょう。