Illustrator(イラストレーター)で画像のトレースを行う方法を解説します。
画像のトレース機能を使用すると、PNGやJPGといった拡大するとぼやけてしまうラスター画像を、拡大してもぼやけないベクター画像へ変換することができます。
まだIllustratorを持っていない方は、合わせてこちらもご覧ください。
【2024年】Illustratorを無料で使う方法は?おすすめの代替ソフト4選も紹介!
Illustratorの画像のトレースとは?
Illustratorの画像トレースとはデータ形式を変換すること
トレースの本来の意味である「なぞり書き」の通り、Illustratorにおける画像トレースとは、ラスターデータ(ドットで構成されている画像)をパスでなぞり書きしてベクターデータ(座標と線で構成されている画像)に変換することを指します。
つまり、拡大するとぼやけてしまう画像(ラスター)をトレースすることで、拡大してもぼやけない画像(ベクター)へ変換するといった処理となります。
手書きのイラストをベクター化したり、ベクターで欲しい画像がPNGなどしかなかった場合にベクター化できるのでとても役立つ機能です。
画像トレースはアウトライン化と同じくロゴ画像などに最適
オブジェクトをパス化するといった意味では、同じくIllustratorの機能である「アウトライン化」とほぼ同じ機能となります。
パス化された画像とはつまり、ベクター画像のことを指します。ベクター画像は拡大してもぼやけることがないので、拡大されることが頻繁にあるスマホ用WEBページで使用するロゴ画像などに最適なデータ形式となります。
その代わりに、PNGやJPGといったドット画像(ラスター画像)のように、きめ細やかな色調を表現することが苦手なので、画像の用途によってベクター画像・ラスター画像を使い分ける必要があります。
写真を全自動でイラスト化することも可能
画像のトレースを使うと簡単に写真をイラスト化することも可能です。
後述する「画像のトレースをする手順」で使用する【画像のトレースパネル】にて、プリセットを「写真(低精度)」に設定することで、以下の画像のように写真をイラスト化することができます。
尚、パソコンに負荷はかかりますが、同設定項目にて「写真(高精度)」を選択すると写真と見間違うほどに精度の高いイラスト化も可能です。(下図は低精度の処理を施したもの)
Illustratorで画像のトレースをする方法
Illustratorで画像のトレースをする|①画像を取り込む
まずトレースするための画像を取り込みましょう。PNGやJPGなどのドットで構成された画像を取り込みます。
Illustratorを起動後、「ファイル」→「新規」からお好みのサイズのアートボードを作成しましょう。
アートボードが作成できたら、トレースしたい画像をアートボードへドラッグして取り込みます。
アートボードを画像のサイズへ調節したい場合は、「選択ツール」で画像を選択した状態で画面上のメニューバーより「オブジェクト」→「アートボード」→「選択オブジェクトに合わせる」と進みましょう。
これで画像のサイズにアートボードの大きさが調節されます。
Illustratorで画像のトレースをする|②画像のトレースパネルを表示
画像を取り込んだら、Illustrator画面上のメニューバーより「ウィンドウ」→「画像トレース」と進み【画像トレースパネル】を表示します。
パネルを表示した状態で、画面左のツールバーにある「選択ツール」で画像をクリックするとパネル内の設定項目が操作できるようになります。
Illustratorで画像のトレースをする|③トレースの各種設定を行う
画像のトレースにおいてお好みに合わせた設定を行っていきましょう。
設定項目は多数あり、「詳細」の左にある▶をクリックすることで更に詳細設定を展開できます。
基本的に初期設定でも問題ありませんが、前述したように変更を加えるとプレビューが自動的に反映されるので、実際の画像を確認しながら微調整していくといいでしょう。
ひとつだけ重要なポイントとして、詳細設定を展開すると表示される「ホワイトを無視」にチェックを入れると、白背景が削除されて透明の背景とすることができます。
「ホワイトを無視」が適用されるのは背景が白い画像に限られるので注意しましょう。また、「ホワイトを無視」が選択できないプリセットもあります。
設定が確定したら「プレビュー」のチェックを外して「OK」をクリックします。
デフォルト設定でトレースしたい場合の注意点として、設定を一度も変更していない場合は「OK」ボタンがクリック可能ですが、一度でも変更を加えると自動的に「プレビュー」にチェックが入り「OK」がクリックできなくなります。
この場合、「プレビュー」のチェックを外すことで「OK」がクリック可能となります。
Illustratorで画像のトレースをする|④拡張してパス化
設定が完了してトレースした時点ではまだパス化されていないので、外観はベクターデータのようですが、実際はまだ背景を含んだ四角形の画像となります。
パスで構成されたベクターデータにするために、画面上にある「拡張」をクリックしてトレース画像をパス化しましょう。
これで純粋なベクターデータとなるのでパスを使用した操作などが可能になります。
Illustratorで画像のトレースをする|⑤パスの単純化
最後に、パス化した画像から不要なパスを取り除いて完了です。
この作業は必須ではありませんが、無駄なパスが多いとデータが重くなってしまうので、できる限り不要なパスは取り除いてデータを軽くすることで扱いやすくなります。
「選択ツール」で画像を選択した状態で、画面上のメニューバーより「オブジェクト」→「パス」→「単純化」と進んで設定パネルを表示します。
簡易的な設定パネルが表示され、スライダーを左へ移動するとパスが減少し、右へスライドするとパスが増加します。
パスを減らしすぎると画像の形が崩れてしまうので、リアルタイムで反映される画像の状態を確認しながらお好みの加減を見つけて下さい。
より細かな設定を行いたい場合は一番右にある「…」をクリックして詳細設定パネルを展開しましょう。
これで画像のトレース作業の完了です。
きれいに画像のトレースをするためのコツや注意点は?
コツ①|解像度が高い画像を選んできれいに仕上げる方法
画像のトレースを行う上で、元画像の解像度が高いものを用意することでより綺麗なトレースが可能となります。
また、明るい部分と暗い部分の差が大きい、いわゆるコントラスト比が高い画像を使用することでより正確なトレースを行うことができるようになります。
コントラスト比が低い画像でも、Photoshopなどで色調を補正してコントラスト比を上げる手間を加えることで、より綺麗な画像トレースが可能になります。
こちらの記事で解像度の操作方法についても解説しています!⬇︎
【3分でわかる】Photoshopで画像の解像度を上げる・変更する方法!コツ②|設定パネルを微調整してきれいに仕上げる方法
画像のトレースを行う際に様々な設定ができますが、こちらの各項目を細かく調整してみることで画像に応じた最適な設定を行うことができます。
設定内容はすべてプレビューとして確認できるので、実際に画像の変化を確認しながら微調整を加えていくことが可能です。
複数用意されているプリセットの中から一番最適なものを選択し、更に詳細設定を調節していくことでイメージに近づけていきましょう。Adobeの公式マニュアルでひとつひとつの項目が画像で確認できるので、ぜひ参考にしてみて下さい。
(引用元:https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/using/image-trace.html)
Illustratorで画像のトレースができない時の原因と対処法は?
「プレビュー」にチェックが入っていてトレースできない場合
トレース手順の解説でも触れたように、画像のトレース設定パネルにて項目をひとつでも変更すると自動的に「プレビュー」にチェックが入り、「トレース」がクリックできなくなります。
この場合、「プレビュー」のチェックを外すことで「トレース」がクリックできるようになります。
レイヤーがロックされて画像が選択できない場合
画像のトレースを行う際に画像を選択する必要がありますが、画像のレイヤーがロック(保護)されていると画像を選択することができないので、画像のトレース作業が進められません。
この場合、Illustrator画面右のパネルから「レイヤー」タブを選択し、画像レイヤーの左側にある鍵アイコンをクリックしてロックを解除します。
デフォルト状態ではレイヤーのロックはかからない仕様ですが、画像の選択ができない場合は保護されている可能性が高いので、意図せずロックしてしまっていないか確認してみましょう。
クリッピングマスクを当てた画像を使用している場合
クリッピングマスクを当てて一部を表示させている画像に対して画像トレース処理を行うことはできません。
なので、一度PNG形式で書き出した後、新たにPNG画像としてIllustratorへ取り込むことで画像トレースを行うことが可能となります。
Illustratorで画像のトレースをする方法はバッチリ!
今回はイラストレーター(イラレ)の画像トレース機能について解説しました。
画像のトレース機能は手書きのイラストを写真に撮ったものを取り込んでベクター化もできるので、デジタルスタンプ作成などに活用できたりと夢が広がります。
また、あらゆる写真をイラスト化できるので、デザイン制作からYoutubeなどのサムネイル制作などにまで幅広く活用できます。
ぜひ用途に合わせて使いこなしてみて下さい。